三谷幸喜
ハートウォーミングな笑いを巻き起こす現代の喜劇の王様
監督作「THE 有頂天ホテル」(2005)が30日(土)にフジ系で放送。劇作家として活躍した後、TV界に進出し、脚本を手掛けたTVドラマ「古畑任三郎」('94~2006)で人気者になった三谷。“笑わせるための芝居なんかあってはいけないという精神には腹が立つ”と語る三谷作品の特徴は、とことん人を楽しませることにこだわったエンターテインメント精神だ。「アパートの鍵貸します」('60)などのウェルメイドなコメディーで知られるビリー・ワイルダー監督の影響を公言しており、三谷作品で繰り広げられる洒脱な会話や練られた脚本は、“和製ビリー・ワイルダー”という形容も納得だ。抜群のコメディーセンスで多くのファンを獲得した三谷は、自ら手掛けた舞台劇を映画用にリライトした「ラヂオの時間」('97)で、満を持して映画監督デビュー。生放送中のラジオスタジオを舞台に、奇想天外な騒動が展開するコメディーで、日本アカデミー賞脚本賞を受賞。この作品のような、個性的なキャラクターたちが特定の場所でドタバタ騒動を繰り広げるタイプのシチュエーション・コメディーは彼のもっとも得意とするところ。「12人の優しい日本人」('90)、「竜馬の妻とその夫と愛人」(2002)、「笑の大学」(2004)など、過去に作・演出などを手掛けた舞台劇が映画化されることも多く、その際には自身で脚色を務めている。最新作「THE 有頂天ホテル」は大ヒットを記録し、老若男女を温かな笑いで包み込んだ。“自分が楽しめないものを、観客が楽しめるはずがない”と語る三谷は、誰よりも笑いを愛し、愛すべきコメディーを作り続けていくだろう。
PROFILE
'61年7月8日生まれ、東京都出身。日本大学芸術学部演劇学科在学中の'83年に、劇団「東京サンシャインボーイズ」を結成。活動初期は一橋壮太朗の芸名で自ら役者も務めていた。数多くの舞台の脚本や演出を手掛ける中、放送作家・TVドラマの脚本家としても活動を開始。「やっぱり猫が好き」('88~'91)、「振り返れば奴がいる」('93)、「王様のレストラン」('95)など次々と人気作品を生み出し、一躍脚光を浴びる。「オケピ!」など、舞台も高い評価を得ており、毎回チケットの入手が困難なことで有名。朝日新聞にコラムを連載中のほか、映画について語った和田誠との対談集など著作も多数。'95年10月、女優の小林聡美と結婚。近年では大河ドラマ「功名が辻」(2006)や市川崑監督最新作「犬神家の一族」(公開中)に役者として出演し、ユニークな個性を発揮している。
出演作「北の零年」(2004)が24日(日)にテレビ朝日系で放送。野性味あふれる雰囲気ときりっとした鋭い瞳が魅力の渡辺謙。大ヒット公開中のクリント・イーストウッド監督作「硫黄島からの手紙」(2006)では、主人公の硫黄島総指揮官・栗林忠道中将役を監督直々に指名されるなど、近年、ハリウッドからオファーが絶えない日本人俳優だ。そんな彼が日本での知名度を上げたのは、NHK大河ドラマ「独眼竜政宗」('87)への主演がきっかけ。だが'89年、「天と地と」('90)の撮影中に急性骨髄性白血病で倒れて主役を降板、闘病生活を余儀なくされる。一時は俳優生命も危ぶまれたが、不屈の精神力で見事カムバックを果たし、映画、TV、舞台と徐々に活動の幅を広げていく。そして2003年、ハリウッド進出作「ラスト サムライ」で、誇り高き侍を演じて米アカデミー賞助演男優賞にノミネートされ、一躍世界に“ケン・ワタナベ”の名を知らしめた。近年は全編英語のセリフで挑んだ「バットマン ビギンズ」、「SAYURI」(ともに2005)、主演、エグゼグティブ・プロデューサーを務めた「明日の記憶」(2006)など、国内外を問わず話題作の出演を重ねている。新作の「A Dream of Red Mansions」が製作進行中。'49年の中国建国に至る革命を史実に基づいて描いた歴史ロマンで、ケート・ハドソンふんする米国人女性フォトジャーナリストが恋に落ちる理想主義の革命家を演じる。
監督作「たそがれ清兵衛」(2002)が22日(金)に日本テレビ系で放送。義理と人情に弱い“寅さん”が主人公の長寿シリーズ“男はつらいよ”('69~'95)に代表されるように、一貫して庶民の生活に焦点を当て、彼らの素朴で朗らかな生き方を描きつづけてきた山田監督。高度経済成長の波にのみ込まれながらも、砕石運搬船の仕事をしてたくましく生きる夫婦の姿を描写した「故郷」('72)。刑務所帰りの男が、偶然出会った若い男女とともに、妻のいる家へと向かう「幸福の黄色いハンカチ」('77)では、世代を超えた人のつながりを感動的に映し出し大ヒットに。ほかにも、田舎に住む父と都会に暮らす息子との不器用な交流を描いた「息子」('91)、夜間学校、職業訓練校などの学校を舞台に、教育問題を扱った“学校”シリーズ('93~2000)と、社会からはみ出した人たちの哀歓や孤独を温かく描いた多くの名作を生み出す。刺激的な展開や映像で見せる作品が多い現代の映画の中で、古きよき日本の日常風景をとらえ、暴力シーンのない穏やかな雰囲気をもつ山田作品はまれな存在であり、それが広い層に彼の作品が愛され続ける理由だといえる。2002年には、山田監督同様に、一貫して市井の人々を描いた藤沢周平の小説を原作に「たそがれ清兵衛」で初の本格的な時代劇に挑戦。武士を主人公にしながら、物語のメーンを、決闘シーンではなく家族との日常生活に置き、リアリズムを追求した。藤沢の小説の映画化は「隠し剣 鬼の爪」(2004)、現在公開中の「武士の一分」(2006)と続いており、これらは時代劇3部作と呼ばれている。75歳を迎えながらも、いまだ製作に意欲的な山田監督の次回作は、戦時中の東京を舞台に、治安維持法違反で検挙された父親の帰りを待つ母子の姿を描く「母べえ」。山田作品に久々の出演となる吉永小百合が主演を務める。
主演作「NANA」(2005)が11日(月)にTBS系で放送。幼くてあどけない等身大の少女の笑顔を見せたかと思うと、その童顔からは想像もできないほどの恐ろしく冷たい無表情な一面を見せたりと、作品ごとに全く別の“顔”を見せてくれる宮崎。特に、「EUREKA ユリイカ」(2000)や「害虫」(2002)、「ラブドガン」(2004)など、どこか孤独で陰のある少女を演じたときの存在感は圧倒的で、その演技力は、「害虫」の塩田明彦監督をはじめ多くの映画関係者に“天才肌”と評されている。そんな彼女は、作品ごとに異なる役柄と出会うことに喜びを感じるという。そういった意味では、おしゃれ好きで恋愛体質の20歳の女の子を演じた「NANA」、ジャズピアニストを目指す活発で感受性豊かな少女を演じたNHKの連続テレビ小説「純情きらり」への出演は、彼女にとって刺激的で、かつ大きな転機となったに違いない。大ヒットしたこの2作品で、従来見せていなかった明るく前向きなキャラクターを演じたことは、女優としてのポテンシャルの高さを改めて示しただけでなく、彼女の一般的な知名度を上げることにも成功した。2007年も彼女の活躍はとどまることを知らず、京都とソウルを舞台にした日韓合作のラブ・ストーリー「ヴァージンスノー」、過去に傷を持つ人々の物語が交錯する人間ドラマ「サッド・ヴァケイション」の公開が控えている。また、2008年のNHK大河ドラマ「篤姫」では、大河ドラマ史上最年少での主演が決定している。
出演作「ミリオンダラー・ベイビー」(2004)が12月7日(木)にテレビ東京系で放送。この作品で初のアカデミー賞を獲得したフリーマン。過去3度のノミネートを経ての念願の受賞だったが、受賞後には“1回受賞することより、何度もノミネートされることの方が重要だ”いう含蓄のあるコメントを残している。大きな包容力、力強さと哀愁を併せ持つ静観なたたずまいで圧倒的な存在感を放つ彼は今や引っ張りだこの人気俳優だが、下積みは長く、注目を集めるようになったのは40代後半を過ぎたころ。20代、30代にはオーディションに落ち続け、アパート代さえ払えない日々もあった。そういうときも自分の才能を信じて励ましてくれた人々に支えられながら、“次こそは”と何年も自分に言い聞かせて道を切り開いてきたという。彼の演技にはそういった自身の生き方や人柄がにじみ出ている。そんな彼のこだわりの1つに、役を選ぶときには自分に当て書きされたようなものではなく、もともと脚本段階では白人だった役を演じることにしている、というものがある。それは、黒人俳優として固定されたイメージではなく、いつまでも新しい自分を観客に楽しんでもらいたという気持ちの表れだといえる。自らを“生まれながらのエンターテイナー”だと語る彼は、来年で70歳。ギャングのボスを演じる「ラッキーナンバー7」(来年1月公開)、神様を演じた「ブルース・オールマイティ」(2003)の続編「Evan Almighty」(来年公開)など話題の新作も続々と控えており、これからも真のエンターテイナーとして輝き続けていくだろう。