ハリソン・フォード

ヒーロー性に渋さを加味したトップ・スター
主演作「逃亡者」('93)が6日(金)に日本テレビ系で放送。強さと優しさを秘めた正義感の強そうなまなざしが印象的なフォード。'80年代からコンスタントにハリウッドの第一線で活躍してきた彼は、下積み時代が長かったことで有名。'63年に大学を中退して俳優を目指したが、「スター・ウォーズ」('77)で宇宙を自由に飛び回る一匹おおかみの船長ハン・ソロ役に抜てきされるまではほとんど無名の存在であった。しかし、'80年代には“スター・ウォーズ”シリーズ、考古学者にして冒険家の男の活躍を描いた“インディ・ジョーンズ”シリーズといった大作にめぐまれ、一躍アクション・ヒーローとしてトップの地位を確立。また、思慮深い知的な刑事を演じた「刑事ジョン・ブック 目撃者」('85)、殺人容疑を掛けられた優秀な検事補にふんした「推定無罪」('90)といったシリアスな人間ドラマでも活躍、芸域の広さをアピールした。'90年代以降は、ハン・ソロやインディに代表される熱血漢役は減り、「エアフォース・ワン」('97)での貫録ある米国大統領や、「K-19」(2002)での原子炉融解の危機に立ち向かうソ連の原子力潜水艦艦長など、ベテランらしく重々しい低い口調で相手を諭すような落ち着いた役を多くこなしている。そんな彼だが、現在撮影が行われている“インディ・ジョーンズ”シリーズ第4作、「Fourth Installment of the Indiana Jones Adventures」では、久しぶりに正統派のアクション・ヒーローを演じる。製作総指揮ジョージ・ルーカス、監督スティーブン・スピルバーグはシリーズ全作同様で、米国での公開は2008年5月に予定されている。60歳半ばを迎えた中でアクション大作に挑戦するフォードが、一体どのような“インディ”を見せてくれるのか、注目と期待を集めている。

PROFILE
'42年4月13日、米・イリノイ州生まれ。父はアイルランド系の元声優で、母はロシア系ユダヤ人。大学時代から演劇を学び始め、地方の劇団で活動。'66年に「現金作戦」で映画デビューを果たすも、下積み時代は長らく不遇の時を過ごし、生活費を稼ぐために大工の仕事をやっていた。大工の腕前は専業にしてもやっていけるほどのものだったという。飛行機とヘリコプターのライセンスを持っており、自ら飛行機を操縦して来日したことがある。彼に俳優の道を勧めた大学のクラスメート、「E.T.」('82)などで知られる脚本家メリッサ・マシソンと、2度の結婚をするがどちらも離婚。現在は、TVドラマ「アリーmyラブ」で主演を務めた女優キャリスタ・フロックハートと婚約している。

クレア・デーンズ

しんの強さと知性を兼ね備えた実力派女優
出演作「ターミネーター3」(2003)が29日(金)に日本テレビ系で放送。透き通った瞳に、意志の強そうな眼差し、愛くるしい笑顔が魅力のデーンズ。'94年、「若草物語」の病弱な三女役で本格的な映画デビューを飾った彼女は、「プラトニック・ゲーム」('96、未公開)の内気な女子高生や「逢いたくて」('96、未公開)の父親思いの娘役など、等身大の女の子役でさわやかな印象を残してきた。そんな彼女が知名度を上げたのが、ナタリー・ポートマン、クリスチーナ・リッチらライバルを押しのけて見事オーディションに合格した「ロミオ&ジュリエット」('96)。許されぬ恋に落ちたヒロイン、ジュリエットをキュートに好演し、一躍ティーン・スターの仲間入りを果たした。以来、「レインメーカー」('97)のフランシス・フォード・コップラ、「Uターン」('97)のオリバー・ストーンといった巨匠監督作品に出演し、演技の幅を広げていく。私生活では、勉学にも力を注ぎ、'98年に名門エール大学に入学。しばらく学業優先の生活を送っていたが、2002年「めぐりあう時間たち」で本格的な仕事復帰を果たした。その後も、華麗なアクションを披露した「ターミネーター3」や、ハートウォーミング・コメディー「幸せのポートレート」(2005)の主人公の妹役など、しんの強い女性役で深い印象を残している。新作の「消えた天使」(2007)が8月4日(土)に日本公開。性犯罪者誘拐犯の心の闇を描くサイコ・サスペンスで、リチャード・ギア演じる主人公と行動をともにする新人女性監視官役を演じる。また、ヒロインを務めた冒険ファンタジー「スターダスト」(2007)が今秋日本公開予定だ。

PROFILE
'79年4月12日、米・ニューヨーク生まれ。写真家の父親と芸術家の母親を両親に持つ。6歳でモダンダンスを始め、9歳からアクターズ・スタジオで演技を学ぶ。舞台を経て、'92年に映画デビュー。'94年、TVシリーズ「アンジェラ 15歳の日々」で、ゴールデン・グローブ賞(TV部門)の主演女優賞を受賞した。ほかの出演作にアメリカ版のヒロインの声を務めた「もののけ姫」('97)、「自由な女神たち」('97)、「ブロークダウン・パレス」('99)、「17歳の処方箋」(2002)などがある。

ティム・バートン

子ども心を忘れないハリウッドきってのオタク監督
監督作「PLANET OF THE APES 猿の惑星」(2001)が17日(日)にテレビ朝日系で放送。バートン監督作品の魅力は、不気味なものを描いても、不思議と残酷さや恐怖は感じられず、むしろユーモラスでメルヘンチックであるところだ。「ビートルジュース」('88)のマイケル・キートンふんする幽霊をはじめ、「シザーハンズ」('90)のハサミ手の改造人間など、本来はグロテスクなはずのキャラクターを、バートンはなんとも愛嬌のある人物に創り上げている。そしてこれらの主人公はみな、ふだんは人から忌み嫌われていて、ちょっと屈折してはいるけれど心の優しい人物ばかり。このようなマイノリティーの存在にスポットを当てるのも、彼の作品の特徴である。「マーズ・アタック!」('96)で大スター演じる政府の要人が次々と火星人に殺され、落ちこぼれの青年や老人がヒーローとなってしまうところなどに、バートンのマイノリティーに対する愛が感じられる。この作品については「大スターがあたふたしているのを見るのは楽しい」と言っていたバートン。「PLANET OF THE APES~」でメジャーな俳優たちにサルを熱演させたのも、いかにもバートンらしいところだ。「ビッグ・フィッシュ」(2003)では独自のファンタジー感を損ねることなく、大人向けな内容の感動作を完成させ新たな一面を見せた。「スリーピー・ホロウ」('99)などで度々コンビを組んだジョニー・デップを主演に迎えた「チャーリーとチョコレート工場」(2005)では、バートン監督らしい原色をメーンに使ったカラフルなセットが組まれ、誰も見たことのないチョコレート工場を作り出した。さらに「チャーリー~」は日本国内で興行収入50億円を超える大ヒットも記録している。現在はミュージカル、スウィニー・トッドの映画化作品「Sweeney Todd」で監督を務める。主演をバートン作品の常連デップ、共演にヘレナ・ボナム・カーター。

PROFILE
'58年8月25日、米・カリフォルニア州バーバンク生まれ。ディズニーのアニメーターとして活躍したのち、長編初監督作品となる「ピーウィーの大冒険」('85)を手掛ける。「ビートルジュース」で注目される。「バットマン」('89)「バットマン リターンズ」('92)「エド・ウッド」('94)などを監督。「ティム・バートンのコープスブライド」(2005)で念願だったストップモーション・アニメの初監督となる。長年連れ添ったリサ・マリー夫人(「マーズ・アタック」の火星人役)と離婚し、「PLANET OF THE APES~」でサルのヒロインを演じたヘレナ・ボナム・カーターと交際を始めた。2003年にカーターとの間に息子が生まれるが入籍はしていない。

柴咲コウ

アクションにも果敢に挑戦する若手女優
柴咲コウ出演作「県庁の星」(2006)が9日(土)にフジ系で放送。高い演技力が評価され、現在、日本映画界の第一線で活躍する若手女優の1人である柴咲。大きく鋭い目が印象的なクールな顔立ちは、人気漫画家・伊藤潤二の原作を映画化した「案山子 KAKASHI」(2001)や、彼女の初主演にしてヒット作「着信アリ」(2003)などのホラー作品で強烈な存在感を残した。その鮮烈な目力は、自己を持った“強い女性”という印象があり、彼女の1番の魅力だ。エリート官僚とともに三流スーパーの建て直しに立ち上がるパート店員にふんした「県庁の星」、日本が沈没するという究極の状況下で人々の救出に奮闘するレスキュー隊員を熱演した「日本沈没」(2006)など、凛とした彼女のたたずまいは、同性からも受け入れられるかっこ良さがある。ことし公開した、手塚治虫の名作漫画を実写映画化した「どろろ」(2007)では、やんちゃな少年“どろろ”という異色な役にも挑戦。孤児でありながら果敢に生きる“どろろ”のたくましさが、柴咲の魅力とうまくマッチして新たな一面を見せた。「やればやるほど欲が出てくる」と演技への情熱を語る柴咲は、最近では「日本沈没」でレスキュー隊の訓練シーンを自らやってのけたり、「どろろ」ではワイヤーアクションに挑むなど、体を張った役にも意欲的だ。現在は、人気香港映画「少林サッカー」(2001)の続編を“踊る大捜査線”シリーズの本広克行監督が手掛ける「少林少女」を撮影中。前作のサッカーからラクロスに設定は変わるが、前作同様アクションが見どころ。主人公を演じる柴咲は「半端なものにしたくない」と、撮影の1年前から武術を猛特訓。16日(土)からは、人気脚本家・宮藤官九郎が舞妓の世界を舞台に脚本を手掛けたドタバタ人情コメディー「舞妓Haaaan!!!」が公開。別れた彼氏を見返すため舞妓を目指す女性役で、艶やかな舞妓姿を披露する。

PROFILE
'81年8月5日、東京都生まれ。2000年「東京ゴミ女」で映画デビュー。在日韓国人の少年を主人公に国籍や民族を超えた友情や恋愛を描く「GO」(2001)で、主人公である青年の恋人役をみずみずしく好演し、キネマ旬報賞助演女優賞はじめ、多くの賞を受賞。「バトル・ロワイアル」(2000)、「世界の中心で、愛をさけぶ」(2004)など着実に経験を積んでいく。「黄泉がえり」(2002)では“RUI”の名前で主題歌も担当。透明感ある歌声が映画に合いヒットした。その後も多数の映画で主題歌を歌う。芸名“柴咲コウ”は、かわかみじゅんこの漫画「少女ケニア」の主人公“柴崎紅”をアレンジしたもの。

北野武

自らを“壊して”進化を続ける“世界のキタノ”
監督兼主演作「座頭市」(2003)が3日(日)にテレビ朝日系で放送。先日まで開催されていたカンヌ国際映画祭のレッドカーペットに、和服にちょんまげのかつら姿で登場して相変わらずのやんちゃぶりを発揮した北野監督。2日(土)から公開になる新作「監督・ばんざい!」(2007)でも、その内容の奇想天外ぶりが話題となっている。そもそも「ソナチネ」('93)や「HANA-BI」('97)など、青を基調とした“キタノブルー”といわれる映像や、暴力や死をテーマに独特の静けさや哀愁を漂わせる作風で知られる北野監督。だが、彼の作品は一方で「みんな~やってるか!」('94)「TAKESHIS'」(2005)などの、いわゆる“ぶっとんだ”顔も持っている。最近では「TAKESHIS'」「監督・ばんざい!」と後者の作品が続き、観客に多少なりとも混乱を呼んでいるが、過渡期ともいえるこの2作で、彼は“自分を壊しにかかっている”と発言している。得意の暴力映画を撮らないと宣言した映画監督キタノがあらゆるジャンルの映画に挑戦しては失敗するという「監督・ばんざい!」のストーリーは、北野監督自身が“バイオレンス”など勝手に決め付けられた自分の映画に対する固定したイメージを、一度ぶち壊したいという意志の表れでもある。また、初めてエンターテインメントに徹してつくりあげた「座頭市」では相当のフラストレーションを感じたようで、その不満も「監督・ばんざい!」のような映画を撮ることにつながっているという。それを“膿を取って修復するような気分”と表現する彼は、“もうちょっと無茶をやったら、いずれは正統派大作やエンターテインメント映画を撮りたい”とも語っている。彼が何年先かに“膿”を出し切った後、一体どのような巨匠へと進化していくのか楽しみだ。

PROFILE
'47年1月18日、東京都足立区生まれ。明治大学工学部を2年で中退後(2004年に特別卒業認定者として卒業資格を授与された)、芸人を志し、浅草のストリップ劇場でエレベーター係として働き始める。幕間コントに出演しながらコントやタップダンスの修行に励み、'78年、兼子二郎(現ビートきよし)と漫才コンビ“ツービート”を結成。“ビートたけし”の芸名でTVを中心に活躍する。'83年には、大島渚監督の「戦場のメリークリスマス」に出演し、俳優としても注目を浴びるように。'89年、当初深作欣二監督作として企画された「その男、凶暴につき」を主演を兼ねて初監督。その後もタレント活動と並行して映画を撮りつづけ、'97年、「HANA-BI」でベネチア国際映画祭金獅子賞に輝く。さらに2003年にも「座頭市」で同映画祭監督賞を受賞し、“世界のキタノ”の名を世に知らしめた。2005年からは、東京藝術大学大学院映像研究科の教授に就任している。

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