アラン・ドロン
フランスを代表する永遠の二枚目俳優
出演作「テキサス」('66)が30日(金)にNHK衛星第2で放送。'60~'70年代にかけて絶大な人気を誇った二枚目俳優ドロン。「女が事件にからむ時」('57)で映画デビューを果たし、「お嬢さん、お手やわらかに!」('58)で日本でも人気が上昇。同時期に活躍したフランスの俳優に、ジャン・ポール・ベルモンドがいるが、日本では甘いマスクのドロンが圧倒的に人気があり、欧米人の代名詞的存在でもあった。美男子アイドルとして人気を上げていた彼が一躍注目を集めたのは、サスペンス「太陽がいっぱい」('60)。冷徹さや孤独感が漂う端正な顔立ちを生かし、金持ちの友人を殺し、財産の横領をもくろむ野心家の主人公を見事に演じきった。その美しい容姿の中に、しっとや憎悪のどす黒い感情を内包させた戦りつを走らせる演技は、時の巨匠たちの心をつかみ、ルキノ・ビスコンティ監督の「若者のすべて」('60)「山猫」('63)、ミケランジェロ・アントニオーニ監督の「太陽はひとりぼっち」('62)などに出演し、スターとしての道を歩き始める。そして「地下室のメロディー」('63)「サムライ」('67)「さらば友よ」('68)「シシリアン」('69)「ボルサリーノ」('70)とフィルム・ノワールやサスペンス色の強い映画に多数出演し、自らの真価を発揮する道を探り当てた。これらの作品で、クールな美貌に特殊な世界に生きる男の非情や哀愁を滲ませた役どころを演じ、女性のみならず男性からも高い支持を得る。'80年代に入るまで、その勢いは留まるところを知らず、ほとんどの作品で主演を張りヒットを連発させた。その後は、好んで演じ続けた執念と野望にまみれた役も控えめなものとなり、「カサノヴァ最後の恋」('92)で色事師の悲惨な晩年を演じ、自らを投影させる余裕さえ見せた。'98年の「ハーフ・ア・チャンス」では、ライバル、ジャン・ポール・ベルモンドと「ボルサリーノ」('70)以来、28年ぶりの共演を果たし、貫禄たっぷりの演技を披露するも、この作品を最後に映画界から引退することを宣言。最近出演した日本の番組では「映画でやりたいことはやりきったから」とその理由を話している。しかし、2001年にTVドラマ「アラン・ドロンの刑事物語」で俳優業に復帰し、息子アラン・ドロンJr.との初共演も見せた。また2003~2004年にフランスとドイツで共同製作された「アラン・ドロンの刑事フランク・リーヴァ」にも主演し、12月にはDVDも発売される。ことし初めには映画「マディソン郡の橋」('95)の舞台化作品に、かつての恋人ミレーユ・ダルクと共演。デビューから50周年を迎えた現在もまだまだ元気な姿を見せている。
PROFILE
'35年11月8日、フランス生まれ。17歳で海兵隊に入隊し、除隊後は世界各地を放浪。'57年に「女が事件にからむ時」で映画デビュー。フランス、イタリア、アメリカ映画など、数々の作品に出演し、爆発的な人気を誇る。俳優業の傍ら、自身のプロダクション“アデル・プロ”を設立。「ル・ジタン」('75)や「ブーメランのように」('76)の製作を手掛け、プロデューサーとしても手腕を発揮。また、「危険なささやき」('81)では監督業に進出した。私生活では「恋はひとすじに」('58)で共演したロミー・シュナイダーをはじめ、女性関係のスキャンダルでも世間を大いに賑わせた。