加瀬亮

どんな役柄にもしなやかに変化していく実力派俳優
加瀬亮主演作「それでもボクはやってない」(2006)が1日(土)にフジテレビ系で放送。同作の周防正行監督は、加瀬を見た瞬間に惚れ込み主演に抜擢した。「気取っていないし、構えてもいない」と、彼の魅力を話す。この作品の前には、クリント・イーストウッド監督の「硫黄島からの手紙」(2006)に主要キャストとして出演し、加瀬の知名度は急速に増した。しかしながら、2000年の「五条霊戦記 GOJOE」でデビューしてからの彼の出演作は、待機作も含めて40本を超えている。彼は、どんな小さな役もいとわず出演し、作品ごとに見せる顔が異なる、カメレオン性を持ち合わせた俳優であるゆえ、多くの作品に出演していながらも、これまで知名度には繋がらなかったのかもしれない。「花」(2002)や「メールで届いた物語(ストーリー)」(2005)などで好青年な顔を見せ、「female」や「花よりもなほ」(ともに2005)、「ストロベリーショートケイクス」(2006)などでは女を翻弄する役を演じた。「スクラップ・ヘブン」(2005)では正義感と悪が混在し、不安定に揺れる刑事にふんし、単独初主演の「アンテナ」(2003)では、病んだ家族を抱え、自傷行為を繰り返しながらSMにのめり込んでいく大学院生という強烈な役を全身全霊で演じた。さまざまな役を演じ分ける加瀬は、「カクト」(2002)、「理由」(2004)、「疾走」、「好きだ、」(ともに2005)、「パッセンジャー」(2006)など、犯罪者にふんすることも多い。普通で柔らかな笑顔を持ちながら、角度を変えると狂気が宿ったような表情を見せる、という相反する表現をできる俳優であり、その普通さの中にさまざまな顔や感情を内包させ、しなやかに変化していく。“いろいろやってきた試行錯誤が体に馴染んできたのでそれをもっと外に出していきたい”と語る加瀬。その言葉通り、今後も「犬と私の10の約束」が3月15日(土)に公開を控え、デビュー当時から親交の深い石井克人監督の「山のあなた 徳市の恋」をはじめ「パコと魔法の絵本」、「TOKYO!~Interior Design~」、「ぐるりのこと」、「グーグーだって猫である」と待機作が目白押しだ。

PROFILE
'74年11月9日、神奈川県横浜市生まれ。ワシントン州シアトル郊外で7歳まで育つ。大学卒業後、小劇場で見た舞台に影響を受け役者を志すようになる。毎日、むさぼるように映画を見る中、浅野忠信の演技に引かれ付き人となり、数々の現場に参加。2000年「五条霊戦記 GOJOE」でスクリーンデビューを果たし、その後、役柄の大小に関わらず、映画作品に出演。「茶の味」、「ニワトリはハダシだ」(ともに2003)、「誰も知らない」、「69 sixty nine」(ともに2004)、「ハチミツとクローバー」(2006)、「めがね」、「オリヲン座からの招待状」(ともに2007)など学生から映写技師、コンビニ店員など幅広い役をこなす。昨年は、映画監督でもある塚本晋也演出「哀しい予感」で舞台でも活躍した。

ジョン・トラボルタ

劇的な再ブレークを果たしたハリウッドきっての個性派スター
出演作「パニッシャー」(2004)が29日(金)に日本テレビ系で放送。目尻の下がったやや下膨れの顔からにじみ出る人の良さと、肩の力の抜けた演技で多くの人を魅了するトラボルタ。彼の名を一躍世界に知らしめたのは、'70年代後半に出演した2本の映画だった。踊りだけが生きがいの青年を演じた「サタデー・ナイト・フィーバー」('77)では、幼少時から習っていた得意のダンスを披露。大ヒットを記録し、世界中にディスコ・ブームを巻き起こした。その翌年に出演した青春ミュージカル「グリース」でも、不良グループのリーダー役でダンス・シーンをセクシーにこなし、映画はまたしても大ヒット。そのまま順調なキャリアを歩むかに見えたトラボルタだったが、ラブロマンス「アーバン・カウボーイ」('80)、「サタデー・ナイト―」の続編「ステイン・アライブ」('83)などコンスタントに映画出演を重ねるもヒット作は生まれず、しばらく低迷の時期が続く。TVなどの活動を経て'89年に出演したコメディー「ベイビー・トーク」では、ひょんなことから父親となったタクシー運転手を演じ、久々のヒットとなった。だが彼の復活を印象づけたのは、何といってもクエンティン・タランティーノ監督の「パルプ・フィクション」('94)だろう。この作品で演じたギャングの役は、トラボルタのファンであるタランティーノが彼のために用意したもの。「サタデー・ナイト―」のパロディーともいえるレストランのダンス・シーンなど、'70年代のトラボルタをリアルタイムで知らない世代にも存在をアピールし、“ハリウッドで最も劇的なカムバック”とまで言われた。その後、「ゲット・ショーティ」 ('95)の映画産業に乗り出すマフィアや、「パニッシャー」の裏社会を牛耳る資産家など様々なタイプの悪役を演じ、演技の幅を広げていく。一方、屈託のない笑顔で風変わりな天使を演じた「マイケル」('96)や、大企業に立ち向かう正義感の強い弁護士を好演した「シビル・アクション」('98)では、生来の善人風のキャラクターが役柄にマッチし、多くの観客のハートをつかんだ。ブロードウェー・ミュージカルを映画化した「ヘアスプレー」(2007)では、女子高生の“母親”役に挑戦。スターの地位に甘んじることなく、新しい役にチャレンジし続けている。人生に行き詰まった中年男4人がバイクでアメリカ横断の旅に出る「団塊ボーイズ」が公開中。トラボルタは自己破産した実業家を演じる。

PROFILE
'54年2月18日に米・ニュージャージー州で、イタリア系の父とアイルランド系の母の間に生まれる。5歳のころから、元女優で演技コーチの母からタップダンスを習い始め、以後舞台の経験を積むようになる。16歳の時に高校を中退してニューヨークに移り、オフ・ブロードウェーやTVなどに出演。'75年に、「魔鬼雨」で端役を得て映画デビューを果たす。私生活では、「エキスパーツ」('88、日本未公開)で共演した女優ケリー・プレストンと'91年に結婚。一男一女をもうけている。無類の航空機好きとしても知られ、自家用ジェットのほか、ボーイング747-400の副操縦士免許も取得している。

シャロン・ストーン

容姿の美しさだけに留まらず着実に進化する女優
出演作「キャットウーマン」(2004)が17(日)にテレビ朝日系で放送。一大センセーションを巻き起こした官能サスペンス「氷の微笑」('92)での体当たり演技で一躍スター女優の仲間入りを果たしたストーン。色気で刑事を惑わす殺人容疑者役は、力強い目をした美しい顔立ちと抜群のプロポーションを持つ彼女のはまり役に。当時34歳と遅咲きではあったが、その美ぼうを武器に「硝子の塔」('93)や「スペシャリスト」('94)などで、濃厚なラブ・シーンに果敢に挑み、“90年代のセックス・シンボル”になった。しかしその一方で、セクシーだけで中身のない女優というレッテルを張られる。そんな彼女の転機となったのが、マーチン・スコセッシ監督作の「カジノ」('95)。妖えんな魅力を持つ切れ者詐欺師役を、名優ロバート・デ・ニーロ相手に熱演。'95年度ゴールデン・グローブ賞(ドラマ部門)最優秀主演女優賞に輝き、実力を見せつけた。しかし以降も、ラジー賞の常連になるなど演技への不評を完全には拭いきれなかったが、余命わずかな少年の母親役にふんした「マイ・フレンド・メモリー」('98)や、軽妙なコメディエンヌぶりを披露した「ハリウッド・ミューズ」('99)と、役者としての幅を広げていく。2001年の脳内出血による女優生命の危機を乗り切った彼女は、「キャットウーマン」で久々の悪役にふんし、健在ぶりをアピール。2006年には、ロバート・F・ケネディ暗殺の現場に居合わせた人々の姿を描く「ボビー」で、悩みを抱えた客に優しく接する美容師役を落ち着いた演技で見せ、豪華出演陣の中で存在感を残した。バッシングに合いながらも、一貫して芯の強いかっこいい女性を演じ、ハリウッド女優としての地位を維持し続けるストーンの新作は、今年のサンダンス映画祭で上映されたコメディー「The Year of Getting to Know Us」。ジミー・ファロンふんする主人公の母親役を務める。そのほか、ブラッド・ピットと共演の「Dirty Tricks」が製作進行中。

PROFILE
'58年3月10日、米・ペンシルベニア州生まれ。地元の美人コンテストに出場したことをきっかけにモデルを志し、大学を中退。19歳でニューヨークに渡り、モデルの仕事に就く。その後、ウッディ・アレン監督の目に止まり、「スターダスト・メモリー」('80)で映画デビュー。長い下積みを経験した後、「氷の微笑」でブレーク。近年はプロデュース業にも取り組んでいる。私生活では、3度の離婚を経験し、現在は3人の養子を持つシングルマザー。またチャリティーや紛争問題などにも関心を持ち、社会に貢献する活動を熱心に行っている。

ナタリー・ポートマン

清純派から実力派へと成長した人気女優
出演作「レオン」('94)が14日(木)にテレビ東京系で放送。幼さの残る顔立ちの中にも凛とした美しさと気品が漂うポートマン。リュック・ベッソン監督の大ヒット作「レオン」で、殺し屋として生きていく少女マチルダ役を演じて鮮烈なデビューを飾った彼女は、将来を嘱望される子役として世界中からその動向が注目された。だが周囲の喧騒をよそに、当時から堅実でクレバーだった彼女は学業優先を主張し、「ヒート」('95)や「マーズ・アタック!」('96)などの話題作に出演するものの、いずれも脇役クラスに徹した。そんな彼女にとって節目となった作品が「スター・ウォーズ エピソード1 ファントム・メナス」('99)をはじめとした“スター・ウォーズ”の新シリーズ3部作。世界中に熱狂的ファンを持つ大作で女王アミダラ役を演じ、ハリウッドのトップ女優の仲間入りを果たした。2004年には、感情の起伏の乏しい売れない俳優と1人の少女との交流を描く「終わりで始まりの4日間」(日本未公開)が各方面から絶賛され、ロンドンを舞台に男女4人のもつれる愛を描く「クローサー」では、アカデミー賞助演女優賞に初ノミネートされたとともにゴールデン・グローブ賞助演女優賞を受賞するなど、本格派女優として大きな飛躍を遂げた。近年ではストリッパーを演じた「クローサー」やヌードを披露した新作「ダージリン急行」など、かつては拒んでいた大胆なラブ・シーンにも果敢に挑戦。これまでの清楚な美少女というイメージを一新し、色気を持った大人の女性の一面を披露している。新作は、ファンタジック・コメディー「マゴリアムおじさんの不思議なおもちゃ屋」が16日(土)に公開。ダスティン・ホフマンふんする、引退を宣言した不思議なおもちゃ屋のオーナーの跡を継いだ雇われ支配人を演じる。さらに、3月8日(土)公開の「ダージリン急行」にカメオ出演するほか、3月22日(土)には「マイ・ブルーベリー・ナイツ」も公開される。

PROFILE
'81年6月9日、イスラエル・エルサレム生まれ。不眠症治療の権威である医師の父親、芸術家の母親の間に生まれる。3歳のときアメリカに移住、ニューヨークでダンスレッスンの帰りにスカウトされて芸能界入り。12歳のとき、2000人の候補者の中から「レオン」のヒロインに選ばれ映画デビュー。'97年には舞台「アンネの日記」でアンネ・フランク役を熱演して話題となる。少女時代から学業優秀で、'99年に名門ハーバード大学に入学し、2003年に卒業。中東問題や後進国の貧しい女性に資金を提供する運動に参加するなど、女優業以外にも独自の視野を広げている。

アン・リー

人間の内面を巧みに描きつづける、アジア人初のオスカー監督
監督作「グリーン・デスティニー」(2000)が6日(水)にNHK衛星第2で放送。「ブロークバック・マウンテン」(2005)でベネチア国際映画祭の金獅子賞をはじめ、数々の賞を受賞したリー。今や、世界的名監督である彼のデビュー作は、ニューヨークで結婚した息子夫婦を訪ねた父親が、カルチャーギャップにとまどいながらも、交流を持とうとする姿を描いた「推手」('92)。以降の、同性愛を隠した息子が偽装結婚する「ウェディング・バンケット」('93)、愛を模索する3姉妹を描いた「恋人たちの食卓」('94)が「推手」を含めて“父親3部作”と称されている。いずれも両親、とりわけ父親の心情描写が細やかに描かれ、リーが人間ドラマ派の監督であることが、デビュー当初からうかがわれた。そんな彼の名が一躍世界に知られたのは、台湾、香港、中国、アメリカの才能を結集させた「グリーン・デスティニー」。高度なワイヤーワークを駆使したアクションシーンはもちろん圧巻だが、それとともに男女の深い愛の物語も丁寧につむぎ、アカデミー賞外国語映画賞など4部門を受賞。そして2003年、「監督として好奇心を感じた」と言う、マーベル・コミックシリーズのひとつ「ハルク」に挑戦。ワイルドで攻撃的な超人ハルクの世界にもリーは、彼の内面を描くことをブレンドさせ、ハルクをただの怪物にはしなかった。この自身初となるハリウッドメジャー作品をヒットさせたリーは、同性愛者のピュアで痛切な愛の物語「ブロークバック・マウンテン」に取り掛かる。会話の少ない主人公2人の心情を雄大な景色に重ね合わせ、静ひつな場面の中に2人の情熱的な愛を生み出し、見る者の胸をふるわせた本作は、アカデミー賞作品賞に本命視されながらも涙をのむ結果に。しかしながら、監督賞を受賞しアジア人初のオスカー監督となった。「ブロークバック―」を通して人間の心の深い部分に触れる作業を繰り返した彼の新作「ラスト、コーション」は2月2日(土)公開。「ブロークバック―」の姉妹作品とも位置付けられる本作は、1人の女スパイの愛の葛藤を描く官能サスペンスで、リーにとって7年ぶりのアジア帰還作となった。“いい作品を作れば、どこでも通用するものだ”と語るように、過激な性愛描写が物議を醸しながら、ベネチア国際映画祭で2度目の金獅子賞受賞をはじめ、各方面から高い評価を得ている。

PROFILE
'54年10月23日生まれ、台湾出身。'75年に国立芸術専門学校を卒業後、アメリカに渡る。イリノイ州立大学とニューヨーク大学で映画を学び、卒業制作作品が'84年のニューヨーク大学学生映画祭でグランプリに輝いた。「ウェディング・バンケット」('93)「恋人たちの食卓」('94)が2年連続でアカデミー賞外国語映画賞候補になる。以降「アイス・ストーム」('97)「楽園をください」('99)などコンスタントに作品を発表。2月2日(土)に公開される「ラスト、コーション」は“極限の愛のシーン”が話題だが、性表現の限界がある中国では、ベッドシーンの全カットバージョンで公開された。作品の要である場面が全てカットされているが、リー自身がその編集も手掛けており、自身は満足していると言う。

カレンダー

2012年02月
Sun Mon Tue Wed Thu Fri Sat
      1 2 3 4
5 6 7 8 9 10 11
12 13 14 15 16 17 18
19 20 21 22 23 24 25
26 27 28 29      
rss