デビッド・フィンチャー

鮮烈な映像センスで社会の闇を浮き彫りにしていくヒットメーカー
監督作「パニック・ルーム」(2002)が27日(日)にテレビ朝日系で放送。フィンチャーの映画監督デビュー作は「エイリアン3」('92)。人気シリーズの大作に27歳の若者が大抜擢されるという前例はなく、大きな話題を呼んだ。だが、彼の名が世界に知れ渡り、その才能を広く認知されたのは「セブン」('95)だろう。本作はフィンチャーのみならず、ブラッド・ピットというスターを生み出した作品でもある。大食、強欲、怠惰…といったキリスト教の7つの大罪に基づく連続殺人を追う2人の刑事の姿を、スタイリッシュかつダークな映像でとらえ、全編にわたる暗い映像の中に独特の世界観を作り出しながら、正義について語りかけた。鮮烈な映像と意外なストーリー展開がさらに注目されることとなる「ファイト・クラブ」('99)では、再びブラッド・ピットを起用し、彼のワイルドでダーティーな魅力を開花させる。この作品でフィンチャーは、持ち味である鋭角的な映像を散りばめ、現代社会で去勢されてしまった男たちの怒りや痛みを浮き彫りにし、暴力の中に人の本質を見いだすことで人間の二面性をえぐり出した。社会の闇を描き、思いもよらない結末で観客を圧倒してきたフィンチャーは2002年、すべての出来事が一軒家で起こるというストレートなサスペンス「パニック・ルーム」に挑戦する。意表をついた映像の動きや構図、そして緊張感あふれる完璧な演出で、観客を飽きさせるどころか混乱さえ巻き起こした。その後しばらくは、自らメガホンを取ることのなかった彼が5年ぶりに手掛けた作品は、実在の連続殺人鬼“ゾディアック・キラー”を題材にした「ゾディアック」(2006)。事件の犯人探しを描くのではなく、本事件への執着に人生を絡めとられた人々を繊細に捉え、人間の内面を深く探る人間ドラマへと仕上げた。常に社会と向き合いながら、作品ごとに自分のスタイルを探求していくフィンチャー。次回作「ザ・キュリアス・ケイス・オブ・ベンジャミン・ボタン(原題)」では、ブラッド・ピット、ケート・ブランシェットを主演に迎え、50歳の中年として生まれ、成長するにつれて若返っていく男性を描く。

PROFILE
'62年、アメリカ、コロラド州生まれ。17歳の時に見た「スター・ウォーズ 帝国の逆襲」に影響を受け映画界を目指す。高校時代から地方TV局で下働きを始め、高校卒業後は、ILMに就職。「スター・ウォーズ ジェダイの復讐」や「インディ・ジョーンズ 魔宮の伝説」などに関わる。その後CMやMTVを手掛け、「エイリアン3」('92)で監督デビュー。「セブン」('95)の大ヒットで一流監督の仲間入りを果たし、その後「ゲーム」('97)、「ファイト・クラブ」('99)、「パニック・ルーム」(2002)など話題作を生み出す。「フル・フロンタル」(2003)では出演者として参加。新作である上記の「ザ・キュリアス・ケイス・オブ・ベンジャミン・ボタン(原題)」に、ブラッド・ピットの愛娘ジャイロちゃんがカメオ出演したことも話題を呼んでいる。

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