フランク・ダラボン
スティーブン・キング原作作品の名手
監督作「グリーンマイル」('99)が10日(土)にフジ系で放送。現在、劇場公開されている監督作は3作品(新作を含まず)と少ないながら、デビュー作「ショーシャンクの空に」('94)をはじめ「グリーンマイル」「マジェスティック」(2001)と、すべてヒットさせているダラボン。中でも、無実の罪で投獄された男が、みずからの力と知恵で、自由を手に入れようとする姿を描いた「ショーシャンクの空に」と、奇跡を起こす黒人死刑囚と看守たちとの心の交流を描いた「グリーンマイル」は、各年のアカデミー賞で、作品賞をはじめ、それぞれ7部門と4部門にノミネートされた。1、2作目ともに作品賞にノミネートされたことは、映画史上6人だけという快挙だ。そして、そのどちらも原作は、彼が大ファンだという人気作家スティーブン・キングの小説で、ダラボン自身が脚色。ホラー小説家として広く知られるキングだが、ダラボンは、ヒューマニズムを色濃く描いた彼の“非ホラー小説”に引かれるという。キング小説の魅力を、“色々なタイプの人間が巧みに描写されている”ところだと話すダラボンは、それを映画の中で十分に活かすため、登場人物を丁寧に描写することを何よりも大切にしている。映像効果や奇抜なストーリー展開に頼る作り方をしていない「ショーシャンクの空に」「グリーンマイル」は、どちらも刑務所というネガティブで暗い印象になりがちな場所が舞台でありながら、人間同士の心の触れ合いをじっくりと観せていき、ラストには観る者に希望や勇気を与え、また人の温かさを伝えて深く感動させた。原作の魅力を崩すことなく映画化するダラボンの手腕はキングにも信頼されているほどで、再びキング小説を原作にした新作「ミスト」(2007)では、ストーリーのラストを原作と変えたにも関わらず、キングに、“もし私がこのラストを思いついていたら、小説の中で使っていただろうね”と言わしめたほどだ。5月10日(土)公開の新作「ミスト」は、不審な深い霧にのみ込まれた田舎町のスーパーマーケットを舞台に、店内に取り残された人々が霧の中から現れる得体の知れない凶暴な生物たちに襲われ、次第に理性を失っていく姿を描く。キング×ダラボンの新たな世界が楽しみだ。
PROFILE
'59年1月28日、フランス生まれ。ブダペストの内乱を逃れ、フランスへ亡命したハンガリー人の両親の元に生まれる。幼少期に家族とともに渡米し、各地を転々とした後、ロサンゼルスに移り住む。高校卒業後、'81年「ヘルナイト」の製作アシスタントとして映画界で働き始める。美術助手なども経験した後、「エルム街の悪夢3 惨劇の館」('87)で脚本家デビューし、「ザ・フライ2 二世誕生」('89)「フランケンシュタイン」('94)などの脚本を執筆。'83年にスティーブン・キングの小説を原作に監督した短編映画をキングに認められ、「ショーシャンクの空に」の原作「刑務所のリタ・ヘイワース」の映画化権を獲得、劇場用映画の監督デビューを果たす。監督だけでなく脚本家やプロデューサーとしても活躍している。