ジェフリー・ラッシュ

オーストラリアを代表する遅咲きの演技派俳優
ジェフリー・ラッシュ主演作「ライフ・イズ・コメディ! ピーター・セラーズの愛し方」(2004)が30日(水)に衛星第2で放送。
母国オーストラリアでは、長らく舞台俳優として活躍し有名な存在だったラッシュ。一方で国際的にはあまり知名度のなかった彼だったが、実在の“天才ピアニスト”デビッド・ヘルフゴットが苦難や障害を乗り越え、演奏家として再起するまでを描いた「シャイン」('95)で、一躍その名を世界に轟かせることになる。幼いころからピアノの天才的才能を持ちながらも精神病に悩まされたヘルフゴットを好演し、世界的には無名のまま、かつオーストラリア人で初めてアカデミー賞主演男優賞を受賞するという快挙を成し遂げた。
40歳代でブレークした彼の元には次々とハリウッドからのオファーが殺到し、「レ・ミゼラブル」('98)、「恋におちたシェイクスピア」('98)、「エリザベス」('98)といった大作歴史ドラマに出演。「恋におちたシェイクスピア」では、シェイクスピアの芝居を上演する劇場のオーナー役でアカデミー賞助演男優賞にノミネートされるなど、映画界の表舞台に立ってからわずか数年で演技派俳優としての地位を確立した。
その後、“サディズム”という言葉の起源にもなった異端の作家マルキ・ド・サドを演じた「クイルズ」(2000)、ピアース・ブロスナンと共演したサスペンス「テイラー・オブ・パナマ」(2001)、キャプテン・バルボッサ役でおなじみの大ヒット娯楽作「パイレーツ・オブ・カリビアン」シリーズなど、持ち前の演技力をいかんなく発揮し、ジャンルを問わない活躍を見せている。中でも、「シャイン」や「クイルズ」など実在の人物をモデルにした作品や、「エリザベス:ゴールデン・エイジ」(2007)などの歴史ドラマで見せる、他を圧倒する存在感は目を見張るものがある。
新作「The Laundry Warrior」が製作進行中。西部時代を背景に、チャン・ドンゴンふんする東洋の戦士が、訪れた町でならず者集団と戦うアクション。ラッシュは、けんかっ早い酔いどれカウボーイ役で出演する。

PROFILE
'51年7月6日、オーストラリア・クイーンズランド州生まれ。クイーンズランド州立大学で芸術学を学ぶ。大学卒業後、ロンドンとパリで演出と演技を学び、帰国後、ライト・アンサンブルの主要メンバーとして数多くの舞台をこなす。当時の劇団仲間だったメル・ギブソンとは、一時同居生活を送っていた。'80年代から時折映画に出演していたが、本格的な映画デビューは'95年の「シャイン」。'88年にオーストラリア人女優のジェーン・メネラウスと結婚、一男一女がいる。

市川崑

日本映画界の巨星・市川崑
総監督を務めた「東京オリンピック」('65)が21日(月)NHK衛星第2で放送。昭和から21世紀初頭まで、映画界を牽引してきた、言わずと知れた日本を代表する監督である。
「映画にならない題材はない」と言う通り、思いついたら失敗を恐れず挑戦していく貪欲さから彼の作品には、“文芸作品”“時代劇”“アニメーション”“ドキュメンタリー”“ミステリー”など多くの分野が含まれている。また、思いつくままに自己表現していく市川の旺盛な好奇心は、「結婚行進曲」('51)での早口台詞や、子育ての奮戦を赤ちゃん視点から描いた「私は二歳」('62)、「火の鳥」('78)でのアニメーションと実写の合成、「竹取物語」('87)での昔話とSFの融合など、いくつかの作品からも見ることが出来る。そして、彼の代表作のひとつ「ビルマの竪琴」('56、'85)はベネチア国際映画祭サン・ジョルジュ賞、アカデミー賞外国語映画賞ノミネート(ともに'56年版)など外国でも高い評価を受けた。
また、オリンピックを“筋書きのない壮大なドラマ”と捉えた市川は、開会式から閉会式に至るまでを記録映画として撮った「東京オリンピック」の総監督を務める。望遠レンズを使用したり、さまざまなアングルから撮影するなど、選手の人間性を重視した演出をほどこし、芸術性の高い作品へ仕上げた。その一方で、記録映画なのか、芸術かの一大論争を巻き起こすが、結果的には大ヒットを記録することになる。その後も“金田一耕助”シリーズでヒットを連発し名匠の名を欲しいままにしていった。
晩年も創作意欲は尽きることなく、2006年には自らの「犬神家の一族」('76)を30年ぶりにセルフリメーク。夏目漱石の短編オムニバスの「ユメ十夜」(2007)の第一編「第二夜」が遺作となった。
後進の映画監督への影響も大きく、“岩井美学”なる映像手法を確立した岩井俊二は「犬神家の一族」を「自分の映画づくりの教科書」と呼び、2006年に「市川崑物語」を製作している。また、公開中の「ザ・マジック・アワー」では、市川監督が監督役として登場し、隅々に市川作品へのオマージュが散りばめられており、エンドクレジットには“市川崑監督の思い出にささぐ”と三谷幸喜監督のメッセージが入っている。

PROFILE
1915年11月20日、三重県伊勢市生まれ。'47年「東宝千一夜」で監督デビュー。翌年、脚本家の和田十さんと結婚。'49年の「果てしなき情熱」以降、'83年に和田さんが亡くなるまでほとんどの作品でコンビを組む。'56年「ビルマの竪琴」で一躍名監督の仲間入りをし、「炎上」('58)、「鍵」、「野火」(ともに'59)、「おとうと」('60)、「黒い十人の女」('61)、「破戒」('62)、「雪之丞変化」('63)など毎年のように名作を世に送り出した。かなりのヘビースモーカーとして知られているが、亡くなる5~6年前からは、吉永小百合のアドバイスもあり禁煙していたという。2008年2月13日、肺炎のためにこの世を去る。

ホアキン・フェニックス

着実に実力派俳優への道を歩む子役出身の個性派スター
ジャーナリスト役で出演した社会派ドラマ「ホテル・ルワンダ」(2004)が14日(月)にNHK衛星第2で放送。
幅広い演技力を武器に、作品ごとに違った顔を見せるフェニックス。そんな彼の名を多くの映画ファンが知ることになった作品が、ニコール・キッドマン主演のエロチック・サスペンス「誘う女」('95)だった。キッドマンふんするお天気キャスターに唆され、彼女の夫を殺す不良少年役で存在感のある演技を披露し、一躍注目される。また同作は、「ウォーキング・ザ・ドッグ」('91、日本未公開)出演後に俳優活動を休止していた彼にとって、復帰作であるとともに、芸名の“リーフ”ではなく本名の“ホアキン”として出演した初の作品にもなった。
その後は、リブ・タイラー演じる女子高生と恋に落ちる同級生を演じた「秘密の絆」('97)や、裏社会の陰謀に巻き込まれていく青年の姿を描いた社会派サスペンス「裏切り者」(2000)など、次々と話題作に出演。そのほとんどの作品で主役もしくは準主役を務め、知名度を上げていく。
多彩な役柄を演じるフェニックスだが、一貫しているのは演技に取り組む極めて真摯な態度。自他共に認める完ぺき主義者であり、「役作りに苦しんでいる状態が好きで、生きがいも感じる。とにかくいい俳優になりたい」とも発言している。役作りに対するこの飽くなき姿勢は、実在した人物を演じるときに実を結ぶことが多い。第73回アカデミー賞で、作品賞など5部門を受賞した史劇スペクタクル「グラディエーター」(2000)では、父や姉に愛されないローマ帝国の残忍な皇帝コモドゥスを、哀しみをたたえた演技で好演し、各方面から絶賛された。さらに2005年には、現在までの代表作ともいえる「ウォーク・ザ・ライン 君につづく道」に出演。同作で伝説のカントリー・シンガー、ジョニー・キャッシュにふんしたフェニックスは、劇中の歌もすべて自らこなすなど、波乱に満ちたキャッシュの人生を見事に演じきり、ゴールデングローブ賞をはじめ数々の映画賞に輝いた。
新作「帰らない日々」が26日(土)より公開。幼い息子をひき逃げされた大学教授一家と、ひき逃げ犯でありながら事件を担当することになる弁護士の運命が交錯するヒューマン・ドラマで、フェニックスは大学教授を演じている。監督は、「ホテル・ルワンダ」に続いて2度目のコンビとなるテリー・ジョージ。

PROFILE
'74年10月28日、プエルトリコ・サンフアン生まれ。'93年に他界したリバー・フェニックスは実の兄。両親が宗教団体の活動家だったため、幼少期は南米各地を転々とする。8歳の時に演技を始め、子役としてTVシリーズなどに出演。'86年に「スペースキャンプ」で映画デビューを果たす。私生活では、「秘密の絆」で共演したリブ・タイラーと約2年間交際していたが破局。厳格なベジタリアンとして知られ、撮影に必要でない限り、皮製品は身に付けないという。姉のレイン、妹のサマーも女優として活躍中。

アン・へッチ

存在感ある演技が光る実力派女優
出演作「ボルケーノ」(1997)が6日(日)にテレビ朝日系で放送。
知的でクールな容姿と、謎を秘めたような独特な雰囲気が魅力のヘッチ。10代の頃から舞台に立ち、TVドラマ「アナザー・ワールド」でエミー賞を受賞するなど確かな演技力を持つ彼女は、日本でも一部放送された“ヤング・インディ・ジョーンズ”シリーズなどのTVドラマや舞台で活躍し、「ハックフィンの大冒険」(1993、日本未公開)で映画デビュー。「ミルク・マネー」(1994)、「ワイルド・サイド」(1996)など出演作を重ねた後、デミ・ムーア主演の「陪審員」(1996)で、マフィアに脅される陪審員(ムーア)を支える親友役を好演し脚光を浴びる。
一気に映画界で引っ張りだこになった彼女は、ホワイトハウスの広報官役を演じた「ウワサの真相 ワグ・ザ・ドッグ」(1997)ではダスティン・ホフマン、ロバート・デ・ニーロと、気の強い地質学者役を演じた「ボルケーノ」ではトミー・リー・ジョーンズと、さらに夫の身を案じる妻を好演した「フェイク」(1997)ではアル・パチーノ、ジョニー・デップと、流行雑誌の副編集長役にふんした「6デイズ/7ナイツ」(1998)ではハリソン・フォードと共演。立て続けにビッグネーム俳優の相手役を務める。中でも「6デイズ/7ナイツ」では、医者や学者など硬派な役が多い中で、等身大のキャリア・ウーマンをコケティッシュに演じ、それまでに見られなかったキュートな姿を披露しファンを増やした。
演技力、人気共に得たヘッチは、巨匠アルフレド・ヒチコックの名作をリメークした「サイコ」(1998)に出演。オリジナル版でジャネット・リーが演じアカデミー賞助演女優賞にノミネートされたマリオン・クレーン役に抜擢され、シャワーを浴びながら殺される名シーンを見事に再現。その後も「私は『うつ依存症』の女」(2001)、「ジョンQ 最後の決断」(2002)、「記憶の棘」(2004)などに出演し、キーパーソン的重要な役で輝きを見せている。新作はアシュトン・カッチャーと共演するロマンチック・コメディー「スプレッド(原題)」。久し振りのコメディー作品への出演で注目を集めそうだ。

PROFILE
1969年5月25日、米・オハイオ州生まれ。幼少期は父親の家出、死亡、さらに兄の交通事故死など辛い日々を送った。実力派女優として活躍する中、2000年には、一軒の屋敷を舞台に、異なる時代に移り住んだ3組のレズビアン・カップルたちの生きざまを描くオムニバス・ラブ・ストーリー「ウーマン ラブ ウーマン」(TV映画)で監督にも挑戦。私生活では、1997年にバイセイクシャルであることを公言し、女優エレン・デジェネレスと交際。しかし2000年に破局し、翌年2001年には男性カメラマンと結婚、1児をもうけた。現在は彼とも破局している。

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