ロバート・カーライル

ブレーク後もマイペースを貫くイギリス映画界きっての実力派俳優
主演作「デイ・アフター 首都水没」(2007)が14日(日)にテレビ朝日系で放送。舞台出身の確かな演技力と独特の存在感でイギリス映画界をけん引するカーライル。日本でも大ヒットした2本のイギリス映画、「トレインスポッティング」('96)と「フル・モンティ」('97)で一躍知名度を上げたカーライルだが、両作で演じた役は実に対照的だった。
麻薬におぼれる若者たちを描いたダニー・ボイル監督の青春ドラマ「トレインスポッティング」では、アルコール依存症でけんかに明け暮れる凶暴な男を怪演。主演のユアン・マクレガーらと共に世界的なブレークを果たす。同作での印象が強烈だったせいか、その後しばらくは、「アンジェラの灰」('99)の妻子に当たり散らす飲んだくれの父親や、再びボイルと組んだ「ザ・ビーチ」(2000)の麻薬依存症の男など、“キレやすい男”の役が続いたほどだ。ブレーク後は、冷血なテロリストを怪演した“007”シリーズ「ワールド・イズ・ノット・イナフ」('99)や、ベストセラー小説を映画化したファンタジー「エラゴン 遺志を継ぐ者」(2006)で悪の魔術師を演じるなど、ハリウッド大作にも出演。しかし、インディペンデント系作品にこだわる彼は、あくまでイギリスを拠点に活動することを公言している。
ヒューマン・コメディー「フル・モンティ」で演じたのは、情けないがどこか憎めない失業中の男。現在では、異彩を放つくせ者俳優のイメージが強いカーライルだが、元来彼が得意としたのは、この「フル・モンティ」に代表されるような、多くの悩みを抱えながら生きる平凡な男の役だった。映画初主演を務めたケン・ローチ監督作「リフ・ラフ」('91)で演じたのも、パブの女性シンガーと恋に落ちる刑務所帰りの青年。一貫して労働者階級や移民らの日常を描くローチとは、「カルラの歌」('96)で再びコンビを組むが、そこで演じたのも、内戦中のニカラグアからやって来た女性と恋に落ちるバス運転手という、人情味ある市井の人物だった。
多発性硬化症と呼ばれる難病に冒されながらも、恋人と共にリハビリに励む青年を演じた「GO NOW」('95)などを含め、思うようにならない恋や挫折に直面する男性にふんしたときのカーライルは、エキセントリックな魅力とはまた違う繊細な持ち味を発揮する。
ウェールズを舞台に、スパイの父とその息子の関係を描く青春ドラマ「アイ・ノウ・ユー・ノウ(原題)」や、カーライルがエディンバラ国際映画祭で最優秀俳優賞を受賞した「サマー(原題)」など、新作の公開が待たれる。

PROFILE
'61年4月14日、イギリス・スコットランド生まれ。17歳で高校を中退し、ペンキ職人の父の仕事を手伝う。21歳の時、演技を学ぶため地元のアート・センターに入学。'91年には仲間と劇団を立ち上げ、「カッコーの巣の上で」「オセロ」などを上演し、舞台演出家としても高い評価を得る。'90年に「サイレント・スクリーム」(日本未公開)で映画デビュー。その後、高視聴率を記録したTVドラマ「マクベス巡査」('95~'97)に出演し、お茶の間の人気者に。私生活では'97年にメーキャップ・アーティストの女性と結婚し2児をもうけている。

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