ジョン・ウー

独自のアクション演出と血の通った人物造形が持ち味のヒットメーカー
ジョン・ウー監督作「M:I-2」(2000)が19日(日)にテレビ朝日系で放送。
独自の美学に貫かれたアクション演出で世界中の映画ファンを魅了するウー。デビュー作が不運に見舞われ、長らく低迷していたウーにとって転機となったのが“香港のスピルバーグ”とうたわれたツイ・ハークとの出会いだった。ハークが製作を手掛けた「男たちの挽歌」('86)で監督・脚本を担当。暗黒街の男たちの抗争と友情をスタイリッシュな映像で描いた同作は、カンフー・アクションが主流だった香港映画界に新風を巻き込み、世界中で話題を呼んだ。以後、続編「男たちの挽歌II」('87)や、男2人と美女1人の怪盗トリオが奇抜なテクニックを駆使して活躍する「狼たちの絆」('91)などヒット作を連発。両手に銃を持った男たちのダンサブルな動き、カット割りの連続からのスローモーションといったアクション演出は、クエンティン・タランティーノら多くの監督に影響を与えた。
香港を代表するヒットメーカーにまで上り詰めたウーだったが、「香港映画の製作の現状は過酷だし、扱えるテーマも限られている」という理由からアメリカに活動の拠点を移す。「ハード・ターゲット」('93)と「ブロークン・アロー」('96)の2本の娯楽アクションでハリウッドでの足場を固めた彼は、「フェイス/オフ」('97)でいよいよ本領を発揮。互いの顔が入れ替わったFBI捜査官と凶悪テロリストの死闘を描いたこの作品では、たぐいまれなアクション演出に単純な善悪では割り切れない深みのあるドラマが加わり、批評家からも高い評価を得る。さらに、同作の大ヒットでハリウッド屈指の人気監督となったウーは、製作・主演のトム・クルーズによって超大作「M:I-2」の監督に抜てきされ、クライマックスでのバイクを駆った一騎討ちのシーンなど随所で持ち味を発揮した。
その妥協のない描写から“バイオレンスの詩人”とも呼ばれるウーだが、本人は暴力否定論者であることを公言。暴力を描くのはそのひどさを伝えるためであり、自作にしばしば登場する白いハトには“平和”の意味が込められていると言う。白人兵士と先住民族の兵士の友情を描いた「ウインドトーカーズ」(2001)や、子どもたちの過酷な現実をつづるオムニバス映画「それでも生きる子供たちへ」(2005)の1編「桑桑<ソンソン>と小猫<シャオマオ>」では、そうしたウーのヒューマニズムを垣間見ることができよう。以前の作品とは毛色の異なるこの2作をへて、今後どのような映画を作るのか注目される。

「レッドクリフ PartI」中国の英雄伝「三国志」のハイライトである“赤壁の戦い”を映画化した「レッドクリフ PartI」が11月1日(土)より公開。ウーが多額の私財をつぎ込んで完成させた入魂の1作だ。

(C)2008 Three Kingdoms Ltd.(C)Bai Xiaoyan

PROFILE
'46年5月1日、中国・広東省生まれ。4歳の時に香港に移住し、劇団で役者として活躍した後、映画監督の道へ。'73年に監督デビュー作を完成させるも、暴力描写の多さが原因で上映禁止の憂き目に遭い、2年後に再編集して「カラテ愚連隊」として公開された。日本映画への造詣も深く、とりわけ深作欣二監督や石井輝男監督からの影響を公言している。

トラックバック

このエントリーのトラックバックURL:
http://blog.television.co.jp/mova/mt-tb.cgi/7780

カレンダー

2012年02月
Sun Mon Tue Wed Thu Fri Sat
      1 2 3 4
5 6 7 8 9 10 11
12 13 14 15 16 17 18
19 20 21 22 23 24 25
26 27 28 29      
rss