ウィレム・デフォー
強烈な個性でキリストから吸血鬼まで演じる性格俳優
出演作「トリプルX ネクスト・レベル」(2005、日本未公開)が8日(日)にテレビ朝日系で放送。
演じる役柄の幅広さにかけてはハリウッド随一ともいえるデフォー。そんな彼の名を世界的に知らしめた作品が、オリバー・ストーン監督による戦争ドラマ「プラトーン」('86)だった。ベトナム最前線の小隊に属しながらも、無益な殺人は犯すべきでないという信念を持つ軍曹役を熱演し、アカデミー賞助演男優賞にノミネートされた。
同作で若手演技派俳優の1人に躍り出たデフォーはその2年後、マーチン・スコセッシ監督の問題作「最後の誘惑」('88)に出演し、さらに注目を浴びることになる。この作品で彼が演じたのは、何とイエス・キリスト。愛と性に悩む1人の人間としてキリストを描くというスコセッシの演出意図の下、ストイックかつ熱情的に人間臭いキリスト役を好演。作品は保守派のキリスト教徒たちの反感を買い、上映反対運動も巻き起こったが、デフォーの俳優としてのポテンシャルの高さは疑う余地がないものとなった。
その後は、詩人T・S・エリオットにふんし、精神を病んだ妻との葛とうを受け身の演技で表現した「愛しすぎて 詩人の妻」('94)や、自分を裏切った考古学者への復しゅうに燃える元スパイを演じた「イングリッシュ・ペイシェント」('96)等で繊細な演技を披露。どんなタイプの作品でも観客に強い印象を残すデフォーだが、その容貌魁偉なルックスやアクの強さもあってか、悪役や非現実的な役を演じたときにとりわけ抜群の存在感を発揮する。人気アクションの続編「スピード2」('97)では、豪華客船をシージャックする元コンピューター・プログラマーにふんし、前作で爆破犯を演じたデニス・ホッパーをしのぐ悪役ぶりでサスペンスを盛り上げた。また、ジョン・マルコビッチ共演のホラー「シャドウ・オブ・ヴァンパイア」(2000)では派手なメーキャップで吸血鬼役を怪演し、2度目のアカデミー賞助演男優賞ノミネートを果たす。さらに2002年には、大ヒット作「スパイダーマン」に出演。軍事企業を経営する天才科学者と、その裏の顔である怪人“グリーン・ゴブリン”の2役を、コミカルな芝居を織り交ぜつつエキセントリックに演じ、ダークな魅力を振りまいた。
新作もめじろ押しで、ナチスの収容所でガス室送りを免れたサーカス団芸人の物語を描く「アダム・レザレクティド(原題)」や、再び吸血鬼役を演じた近未来ホラー・アクション「デイブレイカーズ(原題)」などの公開が待たれる。
PROFILE
'55年7月22日、米・ウィスコンシン州生まれ。大学中退後にニューヨークへ渡り、エリザベス・ルコント率いる前衛劇団“ウースター・グループ”に参加。舞台活動を続ける傍ら、「天国の門」('80)の端役で映画デビュー。以来、現在に至るまで、存在感のある性格俳優として活躍を続けている。私生活では、ルコントと長い間公私にわたってパートナー関係を続け一児ももうけたが、後に破局。2005年に20歳年下のイタリア人女優ジアダ・コラグランデと結婚し、2007年には2人の間に女の子が誕生した。