中井貴一
時代劇からコメディーまで巧みにこなす実力派俳優
出演作「亡国のイージス」(2005)が14日(日)にテレビ朝日系で放送。
父親は往年の二枚目俳優・佐田啓二、姉は女優の中井貴惠という芸能一家に生まれた中井。山田太一脚本のTVドラマ「ふぞろいの林檎たち」('83)で、四流大学生であることに劣等感を抱きながらも、ひたむきに生きていく若者を好演し、ブレークのきっかけとなる。
その後、市川崑監督が自作を29年ぶりに再映画化した「ビルマの竪琴」('85)の主役に抜擢。悲劇を背負い、僧となった水島上等兵の演技は多くの観客の涙を誘った。続いて、山田洋次監督の「キネマの天地」('86)や、相米慎二監督作「東京上空いらっしゃいませ」('90)などに出演した彼は、着々と俳優としてのキャリアを積んでいく。
そして、大石内蔵助と吉良側の司令塔・色部又四郎との謀略戦争を軸に“忠臣蔵”を描いた時代劇「忠臣蔵 四十七人の刺客」('94)では、主演の高倉健を向こうにまわしての熱演を見せ、日本アカデミー賞助演男優賞をはじめ多くの映画賞を受賞。また、愛する家族のために戦いの中に身を投じていく新撰組の剣士を演じた「壬生義士伝」(2002)では、日本アカデミー賞主演男優賞に輝く。一方、謎の術師にふんした「陰陽師II」(2003)や、冷徹な視線の奥に不気味さが漂う対日工作員を演じた「亡国のイージス」では悪役としても質の高い演技を発揮。
また、「ヘブン・アンド・アース 天地英雄」(2003)では外国映画に初出演し、せりふのほとんどが中国語という役柄に挑み、役者として大きな成長を見せる。その甲斐があってか、後に主演とプロデューサーを務めた日・中合作映画「鳳凰 わが愛」(2007)ではその手腕を評価された。
近年では、津川雅彦(監督名・マキノ雅彦)初監督作品「寝ずの番」(2005)に続いての主演となった「次郎長三国志」(2008)で、痛快な仲間たちを引き連れる清水次郎長を熱演。7月18日(土)に公開される新作「アマルフィ 女神の報酬」では、織田裕二演じる外交官・黒田に日本から指示を出す上司役として、声の出演をしている。
PROFILE
'61年9月18日、東京都世田谷区生まれ。2歳のときに父・佐田啓二が交通事故で他界。父の17回忌で松林宗恵監督の目に留まり、戦争大作「連合艦隊」('81)で映画デビューを飾る。翌年、NHKの連続時代劇「立花登・青春手控え」でTVドラマ初出演。'88年にはNHK大河ドラマ「武田信玄」の主役に抜擢され、俳優として不動の地位を築いた。近年では故・緒形拳の遺作となった「風のガーデン」にも出演。現在放送中のドラマ「スマイル」では、あらぬ疑いを警察にかけられた青年・ビト(松本潤)を助けようと奔走する弁護士、伊東一馬役を演じている。