堺雅人
ほほえみで魅了する演技派俳優
出演作「クライマーズ・ハイ」(2008)が8日(土)にフジ系で放送。
昨年、大河ドラマ「篤姫」で“うつけ”と“正気”の二面性を持つ将軍家定役を見事に演じ、幅広い人気を獲得した堺。舞台で培った確かな演技力を武器に、映画、TVと多方面に活躍中だが、なんといっても彼の一番の魅力はその笑顔だ。映画デビュー間もない2001年に出演した「ココニイルコト」では、難病を患う自らの境遇を達観し、“ええんとちゃいますか”という口癖と屈託のない笑顔で主人公を見守る同僚役が印象的だった。出世作となった大河ドラマ「新選組!」(2004)では新選組総長・山南敬助を熱演。当初山南が近藤勇らを蔑むかのように見せていた冷笑が、彼に賛同し、組に加わる過程で理解の笑みへ、切腹が決まった最期には諦念の笑みへと変ぼうしていくさまに視聴者は心を奪われた。主人公たちをやさしい笑顔で見守る美大講師を好演した「ハチミツとクローバー」(2006)、都市伝説にのめりこみ、常軌を逸していくカメラマンの姿を“狂気”が入り交じった笑みで表現した「壁男」(2007)と穏やかな優しい役も、影のある役でも存在感を伺わせる。突然行方をくらましたエリート会社員にふんした「アフタースクール」(2007)は、彼が冒頭で見せる含みのある笑顔が事件を意外なてん末に導く布石として利いていた。言葉で語らなくても、そのほほえみの中から苦悩や諦め、陰などいくつもの感情を表現できるところが彼の俳優としての個性と言えよう。
また、そのほほえみゆえ、裏に秘めている何かや鋭さが表裏一体となっているように感じさせる。「クライマーズ・ハイ」では、泥まみれになりながら日航機墜落事故の第一報を伝えようと奔走する新聞記者を熱演。眼光鋭い表情で堤真一ふんする全権デスクに食ってかかるさまは、ここ数年続いた“穏やか”“いい人”のイメージとはまた違うものだった。殺人と癒着を疑われる天才医師を演じた「ジェネラル・ルージュの凱旋」(2009)では、不敵な笑みを浮かべ、怪しいような、そうでもないような、謎の多い魅力的なキャラクターを作りあげた。作品ごとに違う顔を見せてくれる彼の今後の活躍に注目だ。
現在は、TBS系ドラマ「官僚たちの夏」に出演中。映画の新作は、「南極料理人」が8月8日(土)より公開。堺は南極にやって来た観測隊の調理担当にふんし、意外な料理の腕前を披露している。そのほか、実在した結婚詐欺師を演じた「クヒオ大佐」が今秋に公開、伊坂幸太郎の同名ベストセラー小説を映画化した「ゴールデンスランバー」も来年公開と、出演作がめじろ押しだ。
(C)2009「南極料理人」製作委員会
PROFILE
'73年10月14日、宮崎県生まれ。大学入学と同時に上京し、劇団「東京オレンジ」の旗揚げに参加。“早稲田のプリンス”の異名を持つ看板役者として小劇場界で活躍する。その後映画、TVと活躍の場を広げ、1999年に「火星のわが家」で映画初出演。ドラマ出演作はフジテレビ系「エンジン」(2005)、「ヒミツの花園」(2007)、「トライアングル」(2009)など。その甘いマスクから女性ファンも多い。秋には劇団☆新感線の舞台「蛮幽鬼」に出演予定。