サム・ニール

ニュージーランドを代表する実力派俳優
9月28日(月)に主演作「ジュラシック・パークIII」(2001)がテレビ東京系、「ジュラシック・パーク」('93)が衛星第2で放送。
安定感のある演技で作品に落ち着きを与える実力派俳優ニール。彼の俳優人生のルーツは大学時代に始めた演劇が基盤となっている。舞台俳優として頭角を現した彼は、大学在学中にプロの劇団に参加して1年間イギリス国内を巡演。そこで培った経験を生かし、'77年にはデビュー作となるニュージーランド映画「テロリストたちの夜 自由への挽歌」(日本未公開)で主演を飾る。その後、いちずな愛を貫く名家の青年役を演じたオーストラリア映画「わが青春の輝き」('79)で、イギリス人俳優ジェームス・メーソンがニールの演技を高く評価。メーソンの推薦状がきっかけで「オーメン 最後の闘争」('81)の主役を射止め、ハリウッドデビューを果たす。だが作品の酷評と同様に演技も酷評されたニールは、80年代はTVムービーでの脇役が中心となる。
しかし90年代に入るとショーン・コネリー主演の「レッド・オクトーバーを追え!」('90)や、カンヌ国際映画祭パルム・ドール(グランプリ)をはじめその年の映画賞を総ナメにした「ピアノ・レッスン」('93)などの話題作への出演を足掛かりに、80年代の脇役経験を生かして存在感ある演技を見せる。そして全米で大ヒットした「ジュラシック・パーク」で、現代によみがえる恐竜と対峙する主人公の考古学者役を演じた彼は、これまでの無口で紳士的な役とは違う活発的な一面を見せてハマリ役となる。その後も「ジャングル・ブック」('94)をはじめ数多くの作品に携わり、「ジュラシック・パークIII」でもパート1と同じ役柄で大ヒットの立役者となる。
近年では「エンジェル」(2007)で、数奇な運命をたどる主人公の女性作家が書いたベストセラーを世に送り出す発行人を演じた。最新作は、2010年1月8日全米公開のバンパイア・ムービー「Daybreakers(原題)」。ニールは、ほとんどの人類がバンパイア化した近未来で、生き残った人間を捕まえて家畜として殺さず血液を提供させる養殖ファームの管理者を演じる。

PROFILE
'47年9月14日北アイルランド生まれ。本名はナイジェル・ジョン・ダーモット・ニール。軍人だった父の任地である北アイルランドで生まれたが、国籍はニュージーランドで8歳の時に一家で帰国。ニュージーランドで大学を卒業するまでを過ごす。「オーメン 最後の闘争」で共演した女優リサ・ハローとの間に一男をもうけたが破局。その後、「デッド・カーム 戦慄の航海」(日本未公開)('88)で知り合った日本人メーキャップアーティストのワタナベノリコと結婚し一女をもうける。

山崎努

渋味と貫録ある演技でさまざまな役に挑戦しつづける名優
山崎努出演作「おくりびと」(2008)が9月21日(月)にTBS系で放送。
独特の存在感で、黒澤明や伊丹十三といった巨匠の映画に出演してきた山崎は、日本映画界になくてはならない重鎮のひとりだ。デビュー時から演技や作品へのこだわりに並々ならぬものがあった彼は、当時の新人俳優にしては珍しく出演作を厳選。黒澤監督の「天国と地獄」('63)で屈折した誘拐犯を不気味なムードで演じ、その徹底した役づくりが高く評価され一躍注目を浴びた。その後は主にTVでの活躍が目立ち、時代劇シリーズ「必殺仕置人」('73)で演じた“念仏の鉄”は、歴代の仕置人の中でも底知れぬ恐怖を感じさせるキャラクターとしてファンの間でも人気が高い。
'80年には、黒澤の「影武者」で武田信玄の弟・信廉に扮してキネマ旬報、報知映画賞の助演男優賞を受賞。続き、伊丹監督のデビュー作「お葬式」('84)で、義父の葬儀を執り行なうことになった男をコミカルに演じ、日本アカデミー賞ほか数多くの主演男優賞に輝いた。さらに「タンポポ」('85)「マルサの女」('87)など、伊丹作品に連続して出演。頑固そうな顔とは裏腹のひょうひょうとした雰囲気が、伊丹特有のユーモア・センスとマッチして、妙なおかしさをつくり出している。
近年の代表作は、在日コリアンである主人公の父親を好演し、多くの助演男優賞を受賞した「GO」(2001)、獄中生活を淡々と過ごす受刑者を穏やかに演じ、圧倒的な存在感を見せた「刑務所の中」(2004)、金庫破りに情熱を燃やす老人たちの姿を描いた犯罪コメディー「死に花」(2004)、詐欺師業界の大黒幕に扮した犯罪サスペンス「クロサギ」(2006)などがある。
2008年には、遺体を清め棺に納める“納棺師”という職業に就いた男性の奮闘をユーモラスに描く「おくりびと」で、主人公を納棺師の道へ誘いこむ納棺会社の社長を好演。同作は、日本映画としては初となる第81回アカデミー賞外国語映画賞ほか、国内外の映画祭で89冠に輝いた。このオスカー受賞が追い風となり、日本映画では異例の1年間の長期上映となっている。さらに同年には、飛行機墜落事故を取材する新聞記者の奮闘を描く「クライマーズ・ハイ」で好色家のワンマン社長を怪演。“同じ役柄は二度と演じない”という彼のポリシー通り、さまざまな役柄を精力的に演じている。
新作としては、9月19日(土)から公開される白土三平の漫画を映画化した時代劇アクション「カムイ外伝」(2009)でナレーターを務めている。

PROFILE
'36年12月2日、千葉県松戸市生まれ。父は友禅染職人。'56年、高校を卒業して俳優座に8期生として入る。その後文学座の研究員、劇団・雲を経てフリーに。映画デビューは岡本喜八監督の「大学の山賊たち」('60)。その後、活躍の場を広げ、「新・平家物語」「必殺仕置人」などのTVドラマや、舞台俳優として「冬のライオン」「ヘンリー4世」「リア王」などのシェークスピア作品に出演。「リア王」の熱演が高く評価され、2000年に紫綬褒章を受章した。妻は元女優の黛ひかるで、娘2人と孫がいる。次女の山崎直子も女優で、親子でビールのCMにも出演している。

西川美和

人間の心の裏を鋭く映し出す若き“本格派”
西川美和監督作「ゆれる」(2006)が17日(木)に衛星第2で放送。
長編監督2作目ながら、本作で国内の映画賞を総なめにし、海外でも高い評価を集めた西川。オリジナル脚本にこだわり続け、深い心理描写と物語の力で秀逸な人間ドラマを生み出している。女性監督の台頭が著しい昨今、その旗手ともいうべき実力派だ。
そんな彼女の才気は、鋭い人間洞察に見受けられる。物事を多面的な視点から観察し、善と悪、ウソと本当、そんなものでは一概に割り切れない“玉虫色”な人間の感情をえぐり出す。放蕩息子の帰還を機に一組の家族が崩壊していく情景を描いたデビュー作「蛇イチゴ」(2002)は、ウソの心地よさや真実ゆえの心苦しさといった複雑な感情に陥る登場人物たちをシニカルな目線で見つめ、最後に善と悪の逆転劇を描いた。
「ゆれる」は、兄弟の愛憎を痛々しいまでに描ききった力作だ。幼なじみの女性の死をきっかけに、“いい人”の仮面を破ってそれまで見せなかった一面を明らかにしていく兄と、そんな兄に対して疑惑を広げていく弟。対照的な両者の心の“ゆれ”をきめ細かく描写し、善と悪とを併せ持つ人間のドロドロとした闇を暴いた。
そして、先ごろ公開された新作が、“ニセモノとは何か”をテーマに選んだ「ディア・ドクター」(2009)だ。免許を持たないニセ医者でありながら、村人から神のように慕われている男を主人公に据えた本作。彼がついた善意の“ウソ”を通して、見捨てられる辺境の地では何が正義で何が悪なのか、という深遠なテーマを投げかける。僻地医療や高齢者医療の問題を浮き彫りにするとともに、弱さ、優しさ、善意、ずるさが同居する人間の不可解な心理を描いてみせた。
作品ごとに評価を高め、独特の世界観に引かれた熱狂的なファンを持つ西川は、今最も新作が期待される監督のひとりである。これからも彼女ならではの視点で、さまざまな人間の“業”を描いていってほしい。

PROFILE
'74年7月8日、広島県広島市生まれ。学生時代から映画製作を志し、映画製作会社などの就職試験を受けるがことごとく不採用となる。そんな中、テレビ番組制作会社「テレビマンユニオン」の面接官だった是枝裕和監督に意気込みを買われ、同監督の「ワンダフルライフ」('98)にフリーのスタッフとして参加したことをきっかけに映画界へ。乃南アサの短編小説を映画化した「女神のかかと」を寄せた「female」(2005)や、夏目漱石原作の「ユメ十夜」(2006)といったオムニバス作品では、原作モノの脚色・監督も務めた。また、自ら執筆した「ディア・ドクター」の原案小説「きのうの神さま」が第141回直木賞の候補作品に選ばれるなど、作家としても活躍する。

ドリュー・バリモア

マルチな才能を発揮するスーパーウーマン
主演作「50回目のファースト・キス」(2004)が9月10日(木)衛星第2で放送。
プロデューサーとしても手腕を発揮する実力派女優のバリモア。祖父母、伯父と大伯母、両親とも俳優という芸能一家に生まれた彼女は、生後まもなくCMに出演。4歳のときに、SFスリラー「アルタード・ステーツ 未知への挑戦」('80)でスクリーンデビューを飾ると、その後もスピルバーグ監督の「E.T.」('82)や、スティーブン・キング監督の「炎の少女チャーリー」('84)などで主演を張り、天才子役として注目を浴び、順調にキャリアを重ねていく。しかし私生活では、9歳頃にはアルコールとドラッグに溺れるようになり、14歳の時、自殺未遂をはかるなどして波乱万丈の10代を過ごす。
その後の彼女は、子役時代のイメージとは正反対の不良少女や小悪魔的な役柄を演じることが多かったが、ウディ・アレン監督の「世界中がアイ・ラヴ・ユー」('96)で隠れたコメディーの才能を発揮したあたりから方向転換に成功。そして、人気コメディアンのアダム・サンドラーと共演した「ウェディング・シンガー」('98)での幸せを夢見るウエートレス役や、聡明で活発なシンデレラを演じた「エバー・アフター」('98)などで、“ハリウッドで最も稼げるロマコメのヒロイン”の片りんをのぞかせるようになっていく。
こうして、女優として新境地を開いた彼女は、一方では'94年10月、友人と共に立ち上げた製作会社フラワー・フィルムズのもとでプロデューサーとしても活躍。初めて製作総指揮を手掛けたロマンチック・コメディー「25年目のキス」('99)では主演も兼ね、奥手な女性記者を等身大の演技で見事に演じきった。またキャメロン・ディアス、ルーシー・リューと共演し、全世界で5億ドル以上の興収を上げた「チャーリーズ・エンジェル」シリーズ(2000、2003)、カルト映画「ドニー・ダーコ」(2001)などヒット作を次々に送り出し、今や女優としてだけでなく、プロデューサーとしても、ハリウッドで一目置かれる存在になった。
近年は、共演のヒュー・グラントと息の合った演技で作家志望の女性を好演した「ラブソングができるまで」(2007)、キュートで世間知らずなビバリーヒルズ育ちのチワワ(主役のイヌ)の声を務めた「ビバリーヒルズ・チワワ」(2008)などに出演、どんな役柄も幅広くこなす実力派女優として目覚ましい活躍を見せている。
現在、公開中の製作総指揮も手掛けた「そんな彼なら捨てちゃえば?」(2008)では、いつものキュート&ドジなキャラを封印し34歳の実年齢にふさわしい等身大の演技を披露。今後の作品としては、ロバート・デ・ニーロ、ケート・ベッキンセール共演の「Everybody's Fine」(原題)、初監督を務めたスポ根コメディー「Whip It!」(原題)の、2009年全米公開が予定されている。

PROFILE
'75年2月22日、米・ロサンゼルス生まれ。祖父は俳優のジョン・バリモア、父も俳優のジョン・ドリュー・バリモアという芸能一家出身。両親は彼女が生まれる前に離婚。TV映画への出演を経て、4歳の時に「アルタード・ステーツ 未知への挑戦」でウィリアム・ハート演じる主人公の子供役として映画デビュー。以来、一躍天才子役として注目を浴び、順調にキャリアを重ねていたが、私生活はすさんでいく('90年にこれまでの荒れた私生活をつづった自伝を出版しベストセラーとなった)。10代から20代始めには“Bad Girl”として有名で、'95年には「プレイボーイ」誌でヌードにもなっている。現在は、女優業、プロデューサー業とも順調で、今や正真正銘ショウビズ界のキーパーソンとなった。

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