山崎努

渋味と貫録ある演技でさまざまな役に挑戦しつづける名優
山崎努出演作「おくりびと」(2008)が9月21日(月)にTBS系で放送。
独特の存在感で、黒澤明や伊丹十三といった巨匠の映画に出演してきた山崎は、日本映画界になくてはならない重鎮のひとりだ。デビュー時から演技や作品へのこだわりに並々ならぬものがあった彼は、当時の新人俳優にしては珍しく出演作を厳選。黒澤監督の「天国と地獄」('63)で屈折した誘拐犯を不気味なムードで演じ、その徹底した役づくりが高く評価され一躍注目を浴びた。その後は主にTVでの活躍が目立ち、時代劇シリーズ「必殺仕置人」('73)で演じた“念仏の鉄”は、歴代の仕置人の中でも底知れぬ恐怖を感じさせるキャラクターとしてファンの間でも人気が高い。
'80年には、黒澤の「影武者」で武田信玄の弟・信廉に扮してキネマ旬報、報知映画賞の助演男優賞を受賞。続き、伊丹監督のデビュー作「お葬式」('84)で、義父の葬儀を執り行なうことになった男をコミカルに演じ、日本アカデミー賞ほか数多くの主演男優賞に輝いた。さらに「タンポポ」('85)「マルサの女」('87)など、伊丹作品に連続して出演。頑固そうな顔とは裏腹のひょうひょうとした雰囲気が、伊丹特有のユーモア・センスとマッチして、妙なおかしさをつくり出している。
近年の代表作は、在日コリアンである主人公の父親を好演し、多くの助演男優賞を受賞した「GO」(2001)、獄中生活を淡々と過ごす受刑者を穏やかに演じ、圧倒的な存在感を見せた「刑務所の中」(2004)、金庫破りに情熱を燃やす老人たちの姿を描いた犯罪コメディー「死に花」(2004)、詐欺師業界の大黒幕に扮した犯罪サスペンス「クロサギ」(2006)などがある。
2008年には、遺体を清め棺に納める“納棺師”という職業に就いた男性の奮闘をユーモラスに描く「おくりびと」で、主人公を納棺師の道へ誘いこむ納棺会社の社長を好演。同作は、日本映画としては初となる第81回アカデミー賞外国語映画賞ほか、国内外の映画祭で89冠に輝いた。このオスカー受賞が追い風となり、日本映画では異例の1年間の長期上映となっている。さらに同年には、飛行機墜落事故を取材する新聞記者の奮闘を描く「クライマーズ・ハイ」で好色家のワンマン社長を怪演。“同じ役柄は二度と演じない”という彼のポリシー通り、さまざまな役柄を精力的に演じている。
新作としては、9月19日(土)から公開される白土三平の漫画を映画化した時代劇アクション「カムイ外伝」(2009)でナレーターを務めている。

PROFILE
'36年12月2日、千葉県松戸市生まれ。父は友禅染職人。'56年、高校を卒業して俳優座に8期生として入る。その後文学座の研究員、劇団・雲を経てフリーに。映画デビューは岡本喜八監督の「大学の山賊たち」('60)。その後、活躍の場を広げ、「新・平家物語」「必殺仕置人」などのTVドラマや、舞台俳優として「冬のライオン」「ヘンリー4世」「リア王」などのシェークスピア作品に出演。「リア王」の熱演が高く評価され、2000年に紫綬褒章を受章した。妻は元女優の黛ひかるで、娘2人と孫がいる。次女の山崎直子も女優で、親子でビールのCMにも出演している。

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