ジョン・ラセター
CGアニメーションを芸術作品へと導いた立役者
監督作「カーズ」(2006)が12月4日(金)に日本テレビ系で放送。監督でありアニメーターのラセターは、独創的な物語と技術的なアイデアを常に模索し、数々の素晴らしいCGアニメーションを生み出してきた。高校1年生の時に漫画とアニメーションに夢中になった彼は、カリフォルニア芸術大学(カルアーツ)でキャラクター・アニメーション・プログラムを学ぶ。卒業後、ディズニーのアニメーション映画部門を経て、ルーカス・フィルムのCGチームに参加。そこで、CG技術がアニメーションの作業形態を変えていく可能性を見いだしたラセターは、'86年、ピクサー・アニメーション・スタジオの創立者メンバーとなる。CGアニメーションの開拓者として制作にまい進する彼は、今やピクサーのロゴマークとなった電気スタンドのストーリーを描く短編「ルクソー」('86)を手がける。続く、赤ちゃん相手に奮闘するブリキのおもちゃを描く短編「ティン・トイ」('88)では、CGアニメーション初のアカデミー賞短編アニメ賞を受賞した。わずか5分ほどの時間の中で、CGが得意とする物を主人公に、愛すべきキャラクターを見事に作り上げている。'95年に、古巣のディズニーと提携して、オモチャの世界で繰り広げられる冒険と友情を描く世界初の長編フル3DCGアニメーション「トイ・ストーリー」の監督を務め、アカデミー特別賞を受賞。作品のクオリティーの高さと興行的成功で、ピクサーの名を一躍世界に知らしめる。さらに、働きアリが冷酷なバッタを倒すために立ち上がる「バグズ・ライフ」('98)、オモチャコレクターに誘拐された人形を救うべくオモチャの仲間たちが大冒険を繰り広げるヒット作の続編「トイ・ストーリー2」('99)を監督。いずれの作品も大ヒットを記録した。
その後、ピクサーのクリエイティブ部門の責任者としてスタジオを率いるラセターが、6年ぶりに監督したのが「カーズ」だ。クルマの世界を舞台に、思い上がった若きレーサー・マックイーンが、迷いこんだ田舎町で優しい住民たちと出会い、自分の人生を見詰めなおす姿を描く。本作のストーリーは、仕事に追われるラセターが、モーターホームで2カ月間のアメリカ横断家族旅行に出た際に感じた“家族や友人の大切さ”を作品で伝えたいという思いから考案された。以降、シェフを夢見るネズミ描く「レミーのおいしいレストラン」(2007)をはじめ、数々の名作で制作総指揮を担当。進化するCG技術とともに、ラセターが最も大切とするキャラクターとストーリーがあらゆる世代の人々を引きつけ、ピクサー製アニメーションの魅力を築いていく。
最新作としては、制作総指揮を務めた「カールじいさんの空飛ぶ家」が12月5日(土)に公開される。最愛の妻を失い1人になってしまったカールじいさんが、人生最初で最後の大冒険に繰り出す姿を描く感動のファンタジーだ。さらに、おなじみのオモチャたちが活躍する「トイ・ストーリー3」が2010年にアメリカで公開予定と快進撃は続く。次はどんな驚きに満ちた世界へ連れて行ってくれるのか楽しみにしたい。
PROFILE
'57年1月12日、アメリカ、ハリウッド生まれ。母親は美術教師、父親は自動車販売店の部品部門マネージャー。ディズニーが設立したカルアーツでアニメーションを学ぶ。'86年にピクサー設立者メンバーとなり、「トイ・ストーリー」シリーズなどのヒット作を世に送り出す。製作総指揮を務めた「モンスターズ・インク」(2001)、「ファインディング・ニモ」(2003)、「ウォーリー」(2008)などがアカデミー賞長編アニメーション賞を受賞。また、スタジオジブリの宮崎駿監督とは20年来の親交があり、「千と千尋の神隠し」(2001)の全米公開時には、英語版製作と宣伝活動の協力をした。現在、ディズニーとピクサーの合体により、両社の最高制作責任者および、ディズニーパークのアトラクション制作にも関わっている。