滝田洋二郎
ボーダレスに作品を撮り続けるエンターテインメントのいぶし銀
監督作「壬生義士伝」(2002)が6日(水)に衛星第2で放送。遺体を清め棺に納める“納棺師”という職業に就いた男性の奮闘を描いた人間ドラマ「おくりびと」(2008)が、'08年度米国アカデミー賞で日本映画として初となる外国語映画賞を受賞したことで、滝田洋二郎の名前は日本全国に知れ渡った。だが、滝田は「おくりびと」以前にもさまざまなジャンルで快作を世に送り出している、日本を代表するエンターテインメント性に優れた監督なのだ。
滝田は、成人映画の監督として'81年にデビューする。やがて、'85年の世相や芸能人の動向を追う突撃リポーターの姿を通して、人間社会の裏をあぶり出した異色作「コミック雑誌なんかいらない!」('86)で一般映画に進出。その後、大学病院の入院患者たちの姿を描いた「病院へ行こう」('90)などのコメディー作品を中心に話題作を次々と発表する。
その後、コメディーという枠だけに収まらず、人気作家・東野圭吾の同名ベストセラー小説を映画化した「秘密」('99)や、世間に一大ブームを巻き起こした平安時代の陰陽師・安倍晴明の活躍を描いたSFX時代劇「陰陽師」(2001)などラブ・ストーリーやアクションでも才能を発揮する。
「壬生義士伝」は浅田次郎の同名小説を映画化した幕末時代劇で、愛する者のために生き抜いた新選組の一剣士・吉村貫一郎の生涯を描いた感動作だ。中井貴一や佐藤浩市などの豪華キャストを迎えて撮影した本作で、日本アカデミー賞最優秀作品賞を受賞する。
「おくりびと」で人間の死という暗くなりがちなテーマをユーモラスに描いた滝田が、その次に取り掛かった作品は「釣りキチ三平」(2009)。前作から一転して、天才釣り少年の幻の魚をめぐる冒険を描いた人気コミックを実写映像化した。
'09年、一躍脚光を浴びたことで、誰もが期待している滝田の次回作が待ち遠しい。
PROFILE
'55年12月4日、富山県、高岡市生まれ。'76年、向井寛が主宰する獅子プロダクションに入社し、成人映画の助監督を務める。'81年、「痴漢女教師」で監督デビュー。以降、「僕らはみんな生きている」('92)や「阿修羅城の瞳」(2005)、「バッテリー」(2007)など、ジャンルにとらわれずさまざまなテーマの作品を数々生み出す。2009年、地元富山で県民栄誉賞と高岡市民栄誉賞が贈られた。