香川照之

円熟期を前にしてなお、挑戦し続ける演技派俳優

出演作「カイジ 人生逆転ゲーム」(2009)が11月4日(金)に日本テレビ系で放送。
父は歌舞伎俳優の市川猿之助、母は女優の浜木綿子という芸能一家に生まれた香川だが、2歳のとき両親が離婚。母方に引き取られ、以来40年以上市川とは疎遠となる。大学卒業を目前に、彼が選んだのは両親と同じ芸能界。デビューしてからの10年間は、オリジナルビデオへの出演が主だったが、徐々に香川の演技は注目されるようになる。
カンヌ国際映画祭グランプリ受賞作「鬼が来た!」(2000)では、中国の農村で捕らわれた日本人兵を力強く演じ、同じく中国映画の「故郷の香り」(2003)では、一途に妻を愛し続ける不器用な男性を、ろうあという設定のためせりふなしで見事に演じ切り、東京国際映画祭で最優秀男優賞を受賞した。
その後も、数々の作品に出演し、演技派俳優としての力をつけていく。全編英語のせりふに挑んだ日本版西部劇「スキヤキ・ウエスタン ジャンゴ」(2007)では権力におびえる八方美人な保安官、「劔岳 点の記」(2009)では、急傾斜や大雪など過酷な状況の中で測量隊を誘導する案内人、「あしたのジョー」(2010)では、特殊メークを施して、原作そのものの丹下段平にふんした。NHKのスペシャルドラマ「坂の上の雲」(2009-2011)の俳人・正岡子規役では体重を17kg減量し、その最期を熱演したことも記憶に新しい。
円熟期を前にしてなお、様々な役柄に挑戦し続ける香川だからこそ、46歳にして“市川中車”を襲名し歌舞伎俳優になるという決断にも、説得力がある。来年6月には初舞台を踏む予定だ。今後も映像の場では“香川照之”として活動する彼の最新出演作「カイジ2 人生奪回ゲーム」が、11月5日(土)から公開される。大ヒットとなった「カイジ 人生逆転ゲーム」の続編で、前作では主人公の行く手を阻み、本作では失脚した地位を奪回するべく主人公と手を組む男・利根川を演じる。また、12月23日(金)には「聯合艦隊司令長官 山本五十六」の公開も控える。

PROFILE
'65年12月7日、東京都出身。東京大学文学部卒業間近に俳優を志し、TVドラマ「空き部屋」('88 TBS系)でデビュー。2000年、「独立少年合唱団」でブルーリボン賞を受賞。2006年には「ゆれる」の名演でキネマ旬報助演男優賞と2度目のブルーリボン賞を受賞する。執筆活動でも才能を発揮し、独特の語り口で「キネマ旬報」に長年連載しているエッセーも好評を得ている。歌舞伎俳優・市川亀治郎は従兄弟に当たる。

多部未華子

柔軟さと芯の強さを兼ね備えた若手演技派女優

出演作「君に届け」(2010)が28日(金)に日本テレビ系で放送。
映画やTVに引っ張りだこの、目力が印象的な多部。強い存在感と確かな演技力で高い評価を得ている多部は、2005年、CGキャラクターと共演した「HINOKIO」でブルーリボン賞新人賞を受賞。中性的な役柄の上、ベテランでも難しい誰もいない空間での演技を見事にこなし注目を集めた。
その後「ゴーヤーちゃんぷるー」(2005)のイジメが原因でひきこもりとなった中学生や、「夜のピクニック」(2006)のクラスメートと異母兄弟であるという秘密を抱えた女子高生など問題を抱えた役を演じ、思春期の少女の微妙な感情の動きを表現した。そういった役だけでなく、奇妙な幻聴に悩まされる少女を演じた「こわい童謡 表の章」(2007)、その解決編「~裏の章」(2007)ではホラー、勇猛な王女にふんした「西遊記」(2007)ではアクション、TVアニメ化もされた人気少女コミックが原作の「君に届け」ではラブ・ストーリーと、さまざまなジャンルに挑戦している。
またTVドラマでは、「山田太郎ものがたり」(2007 TBS系)、NHK連続テレビ小説「つばさ」(2009)などに重要な役どころや主人公として出演。「デカワンコ」(2011 日本テレビ系)、「ジウ 警視庁特殊犯捜査係」(2011 テレビ朝日系)での主演も記憶に新しい。
シリアスからコメディーまでこなし、見る者を引き込む演技力と存在感を持つ多部だが、役に入るという意識や演じるキャラクターを作り込むということはないという。このことからも、彼女が持って生まれた演技に関するセンスの良さがうかがえる。
そんな多部が出演する「源氏物語 千年の謎」が12月10日(土)より公開。「源氏物語」の世界と作者・紫式部がいる現実の世界が交錯するストーリーで、多部は「源氏物語」の主人公、光源氏の正妻・葵の上にふんする。ほか、2012年3月には、多部を新ヒロインに迎えた人気シリーズの再映画化「ライアーゲーム」(タイトル未定)の公開も控えている。

PROFILE
'89年1月25日、東京都生まれ。小学生のころ、ミュージカル「アニー」への出演を目指しオーディションを受け続けるが夢かなわず、その間にスカウトされ2002年に女優デビュー。以後、映画、TVドラマで活躍し、CMにも多数出演。ほかにもニンテンドーDS用ゲームソフト「ニノ国 漆黒の魔導士」で主人公の声を担当。同シリーズの最新作でプレイステーション3用ゲームソフト「ニノ国 白き聖灰の女王」は11月17日(木)発売予定。

岡田将生

作品ごとに演技の幅を広げていく正統派イケメン俳優

出演作「僕の初恋をキミに捧ぐ」(2009)が21日(金)日本テレビ系で放送。
180cmの長身に精悍だが優しい顔立ち、若手の中でも“イケメン”俳優といわれる岡田の映画デビューは「アヒルと鴨のコインロッカー」(2007)の端役。しかし、同年「天然コケッコー」(2007)で、片田舎に転校してきた都会的で洗練された少年・大沢広海役で、その存在感に注目が集まる。
その後TVドラマ「花ざかりの君たちへ イケメン♂パラダイス」(2007)で注目を浴びると、2008年には初主演を務めた「ホノカアボーイ」(2008)や、兄がうらやむほどの美貌と才能を持ちながらも暗い過去を引きずる弟役で高い評価を受けた「重力ピエロ」(2009)など、5本の出演作品が立て続けに公開。それぞれの演技の評価も高く、その年の国内映画賞の新人賞を総なめにした。
そして、2010年「告白」、「瞬 またたき」、「悪人」、「雷桜」とまたも立て続けに出演作品が公開。
「告白」では生徒役が多かった彼の初の教師役。問題を抱えた生徒たちと大人の狭間で空回りをする新米教師を熱演。また、「悪人」では、お金持ちのお坊ちゃまで自由気ままな大学生を演じ、今まで演じたことのない“悪役”に挑んだ。「雷桜」では初の時代劇に挑戦。徳川の将軍家に生まれた孤独な青年、斉道を演じた。この役で彼が苦悩しながら役を作りあげていたことを監督の廣木隆一が「彼は現場に無地の状態で入り、七転八倒して役を作り上げていく」と明かしている。
これまでは“イケメン”というイメージから外れない役どころが多かった岡田だが、2010年の彼は新しいキャラクターに挑戦した。主演の新作「アントキノイノチ」が11月19日(土)に公開。この作品で岡田は遺品整理の仕事をする、心を閉ざした青年を演じる。
そして2012年には小栗旬とW主演の「宇宙兄弟」の公開が予定されている。岡田は日本人初の月へ向かう宇宙飛行士で、小栗の演じる南波六太の弟・日々人役。

PROFILE
'89年8月15日、東京都生まれ。中学時代にスカウトをされ一度は断るものの、高校生のとき事務所のオーディションを受け合格。2006年にCMでデビューを果たす。そのほかの映画出演作には「ハルフウェイ」(2009)、「プリンセス トヨトミ」(2011)がある。また2011年のNHK大河ドラマ「平清盛」では清盛の敵・源頼朝と語り手を務める。

北大路欣也

チャンバラスターから転向し、さまざまな役に挑戦し続ける生粋の映画俳優

出演作「インシテミル」(2010)が14日(金)に日本テレビ系で放送。
北大路の父は、戦前戦後を通して片岡千恵蔵らと同時期に活躍した東映の大スター、市川右太衛門。その父が主演する「父子鷹」('56)で、勝海舟の子供時代の役に抜擢され、デビューした。
そして“俳優になる自覚があまりなかった”まま「旗本退屈男」('58)、「葵の暴れん坊」('61)など、20本以上の東映時代劇に出演する。いわば二世俳優のはしりで、お坊っちゃん的な印象で、当時は白ぬりの若殿役が多かった。
同じ東映のスター近衛十四郎の長男、松方弘樹とはライバルといわれ、'61年の「花笠ふたり若衆」「若君と次男坊」などで共演し、時代劇の若手スターとして期待されていた。
転機が訪れたのは、大学入学後。友人に「早稲田に入ってきたのだから、1回くらいシェークスピアをやれ! お前、一生チャンバラで終わるのか」と言われ、大学で「リア王」の舞台に出演。これを機に自ら現代劇への転向を希望し、「海軍」('63)で主演を果たす。
世の中が時代劇映画から現代劇やTV進出への転換期だったことも重なり、北大路の活躍の場は一気に拡大した。「仁義なき戦い 広島死闘篇」('73)ではチンピラやくざを、「八甲田山」('77)では、雪山で遭難しても上司を立て部下を思うりりしい大尉を演じ、「火まつり」('85)では奔放な生き方を貫く男を好演。眼光鋭い重厚な演技は、映画界に欠かせない存在になった。
そしてその高い演技力で数々の映画賞を受賞する。近年では、「新・極道の妻たち 覚悟しいや」(1993)で岩下志麻とねんごろになる殺し屋に、「花より男子ファイナル」(2008)で謎の紳士に、「HACHI 約束の犬」(2008)では吹替えに挑戦。「桜田門外の変」(2010)では水戸藩主・徳川斉昭を演じ、公開作品はすでに90近くになる。昔、父親に「(出演作品に)節操がない」と言われたという名優は、これからもさまざまな役に挑戦し続けていくに違いない。

PROFILE
'43年2月23日生まれ。京都市出身。父は俳優の市川右太衛門。暁星高等学校、早稲田大学第二文学部演劇学科卒業。映画「父子鷹」('56)でデビューした。北大路の名は、京都にあった市川右太衛門の家の地名から名付けられたと言われる。'85年に「火まつり」「春の鐘」でキネマ旬報主演男優賞・報知映画賞最優秀男優賞受賞。2007年には紫綬褒章を受賞。最近では、ソフトバンクモバイルのお父さん犬の声の出演が話題になった。

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