森田芳光
新しい映像表現に挑戦し、数々の話題作を手がけた名匠
監督作「家族ゲーム」('83)が、2月26日(日)にNHK BSプレミアムで放送。
2011年12月20日、急性肝不全のため61歳の若さで急逝した森田芳光監督。8ミリフィルムによる自主映画を出発点とした新人映画監督の先駆けとして、「の・ようなもの」('81)で劇場映画デビュー。若手落語家の日常を描いたこの作品は、それまでの日本映画にはなかった乾いたユーモアと、独創的な映像・編集のセンスが評判となり、低予算、小規模公開ながら一躍、森田芳光の名を世に知らしめた。
続いて、何本かのアイドル映画、ロマン・ポルノを経て自らの才能に自信を深めた森田監督が放った出世作が、後に朋友となる松田優作主演の「家族ゲーム」。落ちこぼれの受験生と風変わりな家庭教師を中心にした奇妙な家族劇は、静かな笑いを誘うコメディーであり、同時に荒涼とした現代人の心を鋭く捉えたシニカルなドラマでもある傑作だ。今作は、キネマ旬報ベストテン1位など各賞を総ナメにしたほか、海外の上映でも評判を呼び、さらにアクション・スターだった松田優作の、新たな一面を引き出した記念的作品でもあった。
薬師丸ひろ子主演のヒット作「メイン・テーマ」('84)、再び松田優作と組み文豪の名作に挑んだ「それから」('85)と話題作を連発。'80年代はまさに森田芳光の時代だった。その後の数年間、思うようにヒット作に恵まれなかった森田監督だったが、現在のインターネット時代を先取りしたかのようなラブ・ストーリー「(ハル)」('96)で、高い評価を得て復活。不倫をテーマにした話題作「失楽園」('97)では、社会現象とも呼べるブームを巻き起こす。以降も、「39 刑法第三十九条」('99)、「阿修羅のごとく」(2003)、「椿三十郎」(2007)など、サスペンスから家族劇、ラブ・ストーリー、時代劇などジャンルを問わず精力的に作品を発表。遺作となった「僕達急行 A列車で行こう」(2012年3月24日公開)まで、約30年間に渡り、数多くの監督作を手掛けた。
PROFILE
'50年1月25日、東京都生まれ。日本大学芸術学部放送学科を卒業。自主制作映画「ライブイン茅ヶ崎」('78)が評判を呼び、「の・ようなもの」で劇場映画デビュー。代表作「家族ゲーム」、「それから」('85)のほか監督作多数。テレビCMも多く手掛ける。近年の作品に「間宮兄弟」(2006)、「サウスバウンド」(2007)、「わたし出すわ」(2009)などがある。大の競馬好きとしても知られた。