サム・ライミ
ホラー、ヒューマン、ヒーロー・アクション、ジャンルを問わない実力派マルチ監督
監督作「スパイダーマン3」(2007)が3月19日(金)に日本テレビ系で放送。スーパーマン、バットマンと並ぶアメリカン・コミックのヒーロー、“スパイダーマン”の映画化作品が大ヒットし、いまやメジャー監督となったライミだが、彼のデビュー作は元祖スプラッターともいうべきB級ホラー「死霊のはらわた」('83)で、続編が製作されるほどの大ヒットとなった。このころに一度、大好きだった「スパイダ-マン」の映画化を企画するが実現せず、自身が考えたオリジナル・ヒーロー「ダークマン」('90)を製作し大ヒットさせる。その後、B級コメディーホラーのイメージを覆すべく、大金を手にした人々の欲望を描いたサスペンス「シンプル・プラン」('98)や、ケビン・コスナー主演の野球感動作「ラブ・オブ・ザ・ゲーム」('99)、ケート・ブランシェット主演のサスペンス・スリラー「ギフト」(2000)などを監督し、人間ドラマも演出できることを証明した。
そして2002年、ライミは念願だった「スパイダ-マン」を監督。これまでも映画監督として高い評価を受けていたが、いわゆる大作とは無縁だったライミ。同作の大ヒットは一気に彼をメジャーな存在へと押し上げた。また続編は失敗作が多いという定説を覆すかのように、「スパイダーマン2」(2004)も1作目を超える成功を収める。2007年にはさらなる続編となる「スパイダーマン3」を発表。今や彼は、ハリウッドを代表するヒットメーカーへと飛躍を遂げた。一連の“スパイダーマン”シリーズは、最新のCG技術を駆使した映像の迫力もさることながら、さまざまな葛藤に苦しむ主人公の青春物語に仕上げた点が多くの人の共感を呼び支持された。良い題材に恵まれたという見方もあるが、図書館が開けるほど膨大な量のアニメ・コミックを収集しているという彼のアニ・コミへの思い入れの強さがヒットの裏側にあったことは見逃せない。
2009年には、ライミ自身久々となるホラー「スペル」を手掛ける。兄アイバンとの共同脚本で製作された本作は、パワフルな恐怖を味わいながらも極上の笑いも堪能できる、ホラー出身の監督ならではの会心作になっている。「スパイダーマン」シリーズの続編が望まれていたライミだが、同シリーズの製作からは手を引くようで、彼の次回監督作は、世界中で大人気のオンライン・ゲーム「ワールド・オブ・ウォークラフト」シリーズを映画化したものになりそうだ。
監督作「壬生義士伝」(2002)が6日(水)に衛星第2で放送。遺体を清め棺に納める“納棺師”という職業に就いた男性の奮闘を描いた人間ドラマ「おくりびと」(2008)が、'08年度米国アカデミー賞で日本映画として初となる外国語映画賞を受賞したことで、滝田洋二郎の名前は日本全国に知れ渡った。だが、滝田は「おくりびと」以前にもさまざまなジャンルで快作を世に送り出している、日本を代表するエンターテインメント性に優れた監督なのだ。
監督作「ゆれる」(2006)が17日(木)に衛星第2で放送。
監督作「踊る大捜査線 THE MOVIE2 レインボーブリッジを封鎖せよ!」(2003)が18日(土)にフジ系で放送。
監督作「ダ・ヴィンチ・コード」(2006)が16日(土)にフジ系で放送。
最新作「天使と悪魔」が5月15日(金)より公開。「ダ・ヴィンチ・コード」の前章にあたる歴史ミステリーで、バチカンを狙ったテロを阻止するため、ガリレオ・ガリレイらが結成した秘密結社の謎に迫る宗教象徴学者ラングドン(トム・ハンクス)の活躍を描く。
監督作「オーシャンズ12」(2004)が28日(火)に衛星第2で放送。
監督作「ザ・ロック」('96)が22日(日)にテレビ朝日系で放送。
この2作でヒットメーカーの地位を確立したベイは、初めてブラッカイマーの元を離れ、ドリームワークス製作のSF娯楽大作「アイランド」(2005)を監督。だが、結果は興行的にはあまり振るわなかった。それでも、同製作会社の代表の1人であるスティーブン・スピルバーグがベイのアクションと高揚感を作り出す才能を高く買い、自身が製作を進めるSFアクション「トランスフォーマー」(2007)の監督に推した。さまざまな機器に“トランスフォーム(変形)”する金属生命体同士の人類を巻き込んだ戦いをこれまでにない迫力で描いたベイは本作で名誉を挽回し、今夏には続編「トランスフォーマー/リベンジ」も公開する。再び地球を襲う金属生命体に、前作から続投するシャイア・ラブーフ演じる主人公が挑む。
監督作「M:I-2」(2000)が19日(日)にテレビ朝日系で放送。
中国の英雄伝「三国志」のハイライトである“赤壁の戦い”を映画化した「レッドクリフ PartI」が11月1日(土)より公開。ウーが多額の私財をつぎ込んで完成させた入魂の1作だ。
監督作「妖怪大戦争」(2005)が3月21日(金)日本テレビ系で放送。グロテスク過ぎる描写や激しいバイオレンス・シーンの数々、また、破天荒な設定やストーリーなど奇抜な作品を多く作り出す三池監督。そんな彼の作風を広く人々に知らしめたのが、新宿・歌舞伎町を舞台に、ギャングと刑事の激闘を描いた「DEAD OR ALIVE 犯罪者」('99)。劇中、空から車が落ちてきたり、主人公がバズーカー砲をぶっ放したりなどハイテンションな映像と展開で観客を驚かせた。2001年には「殺し屋1」で、目を覆いたくなるほど生々しい人間の内臓の散乱や拷問シーンで強烈なインパクトを残す。これら“ぶっとんだ”三池ワールドは、受け入れられる観客とそうでない観客にはっきりと別れる。元々、映画学校に通いながらも“映画監督になるつもりは無かった”と語る三池監督。そんな監督だからこそ、興行的ヒットを狙った老若男女に受け入れられる正統派作品ではなく、自分が面白いと思えるかを基準にした自由奔放な製作スタイルを貫いてきたのだろう。それでも、独特な興奮と笑い、恐怖を与えてくれる稀有な三池作品は若者を中心に多くの観客を魅了し、'91年に監督デビューして以来、製作していない年はないという多作ぶり。携帯電話が導く死の恐怖を描く「着信アリ」(2003)は一大ブームを巻き起こし、昨年公開の「スキヤキ・ウエスタン ジャンゴ」(2007)は西部劇と日本の時代劇をごちゃ混ぜにした破天荒さで話題に。また同年公開の、不良生徒が集まる男子高校の覇権をめぐる抗争を描く「クローズ ZERO」(2007)は大ヒットとなった。常にどんなアイデアで挑んでくるか分からない三池監督の新作は、若者たちが“宇宙は造れるのか”という疑問に挑むSFラブコメ「神様のパズル」で6月7日(土)公開。往年の人気アニメ「タイムボカンシリーズ ヤッターマン」の実写映画化「YATTERMAN」の製作も2009年の公開を目指して進行中で注目を集めている。
監督作「間宮兄弟」(2006)が1日(火)にテレビ東京系で放送。'81年、青春グラフィティー「の・ようなもの」で、助監督の経験もない新人がいきなり劇場映画に進出するという、当時では画期的なデビューを果たした森田。落語家たちのとぼけた日々に焦点をあて、風俗嬢や、女子高生、都会人などの人物像を新しい視点で描き、雰囲気が面白い作品としてその才能を世間に知らしめた。出世作である'83年の「家族ゲーム」では、松田優作ふんする風変わりな家庭教師を迎えた一家の姿をユーモラスに描いた。独創的な画面構成と辛らつな人間観察眼、シニカルなユーモア、斬新な演出が高く評価され数々の映画賞を独占。以降「ときめきに死す」('84)、「そろばんずく」('86)「悲しい色やねん」('88)「キッチン」('89)「おいしい結婚」('91)など、話題作を次々に発表。'96年の「ハル」では、パソコンの字幕画面が作品の大半を占めるという実験的手法にも挑戦し、恋愛映画として魅了しながらも、映像表現への飽くなき開拓精神を見せつける。そして、'97年には、渡辺淳一原作の「失楽園」を監督。不倫の果てに行き着く男女の“究極の愛”をスタイリッシュな映像でつづり、興行収入40億円を超えるヒットを記録。監督の地位を不動のものにする。その後、「黒い家」、「39 刑法第三十九条」(共に'99)、「模倣犯」(2002)と犯罪ものが続いたが、人間、そして家族を描いてきた監督だったということを思い起こさせるように「阿修羅のごとく」(2003)を発表。翌2004年に、普遍的な人間の愛憎の行く末を具現化したラブストーリー「海猫」。2006年、「間宮兄弟」で久々にコメディーに回帰し、2007年には、直木賞作家・奥田英朗原作の「サウスバウンド」、そして初の時代劇にして名匠・黒澤明監督の「椿三十郎」のリメークに挑んだ。ジャンルにこだわらず、多様な作品をコンスタントに発表しつづける森田。常に娯楽に徹しながらも、実験的な手法を随所に見せ、天才的な演出力と独特の映像技術を持ち合わせる監督として今や、日本映画に欠かせない存在となった。「椿三十郎」という高いハードルを越えた森田が、今後どのようなハードルを自分に課すのか、次回作に期待したい。
監督作「トリック 劇場版」(2002)が11月11日(日)テレビ朝日系で放送。シニカルでテンポよい笑いと、凝ったカメラワークや編集による斬新な映像が魅力の堤。その魅力で現在、日本映画界の第一線で活躍する堤だが、実は最初から映画の世界を目指していたわけではない。CM、ミュージックビデオ、TVのバラエティー番組などのディレクターと、さまざまなジャンルで活躍し、そこで磨かれた独特のセンスによって“ケイゾク”('99)、“トリック”(2000-2005)などのTVドラマをヒットさせた。人物の顔を半分しか映さない撮り方や、画面を湾曲させ異様な雰囲気を作リ出すなどのインパクトある映像と、連発されるギャグや登場人物たちの絶妙な掛け合いが新味で多くのファンを獲得。それらの映画化により映画界でも知名度を上げた堤は、青春群像コメディー“ピカ☆ンチ”シリーズ(2002、2004)なども成功させる。そんな娯楽作品で定評のある堤が、渡辺謙プロデュースによる「明日の記憶」(2006)で新たな一面を開花。若年性アルツハイマー病と向き合う夫婦の姿を描くという重いテーマのこの作品。堤の“人間を見る目”を買って監督に起用したという渡辺がにらんだ通り、夫婦愛、病を患った主人公の苦悩をしっとりと、また激しく表現した。人間の機微を丁寧に描き、これまでと違う質感の作品で観客を驚かせた堤は、他人の心を癒やそうとする中で、自分自身に向き合っていく10代の少年少女たちの姿を描いた「包帯クラブ」(2007)や、不器用な男性と彼に尽くす女性の愛が温かい「自虐の詩」(2007)など、心情重視の作品を続けて制作。最新作としては、TVドラマ「スシ王子!」(2007)を映画化したコメディー「銀幕版 スシ王子! ニューヨークへ行く」、竹中直人と吉永小百合ふんする夫婦の愛を描く「まぼろしの邪馬台国」、浦沢直樹の人気コミックを実写映画化するサスペンス・アドベンチャー「20世紀少年」とバラエティー豊かな作品が目白押しだ。
監督作「千と千尋の神隠し」(2001)が2月2日(金)に日本テレビ系で放送。スピード感にあふれた演出、個性的で不思議な魅力を持つキャラクター、細部にわたって綿密に考えられたシナリオなど、作品を発表するたびに高い評価を得てきた宮崎監督。自然と人間の共存の在り方を問うSFファンタジー「風の谷のナウシカ」('84)で一躍有名になった後も、伝説の浮島をめぐるアドベンチャー「天空の城ラピュタ」('86)の連続するダイナミックな映像や、けなげな姉妹と不思議な生き物との交流を描いた「となりのトトロ」('88)の懐かしい日本の風景美などで、子供のみならず大人の心もつかみ、その人気は国民的なものとなった。'97年には、これまでの“宮崎アニメ”の殻を破るべく、残虐な描写も辞さず挑んだ「もののけ姫」が大ヒット。完全主義ゆえの体力と精神の限界から「もののけ姫」の製作を最後に監督引退を宣言していたが、その後、引退を撤回し「千と千尋の神隠し」を発表。フルデジタルの圧倒的な映像美が話題となり、観客動員数2350万人、興行収入304億円など日本映画史の新記録を樹立したほか、米アカデミー賞では長編アニメーション賞、ベルリン国際映画祭ではアニメ作品として史上初の金熊賞(グランプリ)に輝くなど、世界に“宮崎アニメ”の名を知らしめた。SMAPの木村拓哉が声優に初挑戦した「ハウルの動く城」(2004)では、魔女ののろいで老婆にされてしまった少女とハンサムな魔法使いの恋模様を、ユーモラスかつ躍動感たっぷりに描き健在振りをアピール。現在は次回作の準備に取り掛かっているとのことで、内容についてはまだ明らかにされてはいないものの、公開が待ち遠しい。
監督作「THE 有頂天ホテル」(2005)が30日(土)にフジ系で放送。劇作家として活躍した後、TV界に進出し、脚本を手掛けたTVドラマ「古畑任三郎」('94~2006)で人気者になった三谷。“笑わせるための芝居なんかあってはいけないという精神には腹が立つ”と語る三谷作品の特徴は、とことん人を楽しませることにこだわったエンターテインメント精神だ。「アパートの鍵貸します」('60)などのウェルメイドなコメディーで知られるビリー・ワイルダー監督の影響を公言しており、三谷作品で繰り広げられる洒脱な会話や練られた脚本は、“和製ビリー・ワイルダー”という形容も納得だ。抜群のコメディーセンスで多くのファンを獲得した三谷は、自ら手掛けた舞台劇を映画用にリライトした「ラヂオの時間」('97)で、満を持して映画監督デビュー。生放送中のラジオスタジオを舞台に、奇想天外な騒動が展開するコメディーで、日本アカデミー賞脚本賞を受賞。この作品のような、個性的なキャラクターたちが特定の場所でドタバタ騒動を繰り広げるタイプのシチュエーション・コメディーは彼のもっとも得意とするところ。「12人の優しい日本人」('90)、「竜馬の妻とその夫と愛人」(2002)、「笑の大学」(2004)など、過去に作・演出などを手掛けた舞台劇が映画化されることも多く、その際には自身で脚色を務めている。最新作「THE 有頂天ホテル」は大ヒットを記録し、老若男女を温かな笑いで包み込んだ。“自分が楽しめないものを、観客が楽しめるはずがない”と語る三谷は、誰よりも笑いを愛し、愛すべきコメディーを作り続けていくだろう。
監督作「たそがれ清兵衛」(2002)が22日(金)に日本テレビ系で放送。義理と人情に弱い“寅さん”が主人公の長寿シリーズ“男はつらいよ”('69~'95)に代表されるように、一貫して庶民の生活に焦点を当て、彼らの素朴で朗らかな生き方を描きつづけてきた山田監督。高度経済成長の波にのみ込まれながらも、砕石運搬船の仕事をしてたくましく生きる夫婦の姿を描写した「故郷」('72)。刑務所帰りの男が、偶然出会った若い男女とともに、妻のいる家へと向かう「幸福の黄色いハンカチ」('77)では、世代を超えた人のつながりを感動的に映し出し大ヒットに。ほかにも、田舎に住む父と都会に暮らす息子との不器用な交流を描いた「息子」('91)、夜間学校、職業訓練校などの学校を舞台に、教育問題を扱った“学校”シリーズ('93~2000)と、社会からはみ出した人たちの哀歓や孤独を温かく描いた多くの名作を生み出す。刺激的な展開や映像で見せる作品が多い現代の映画の中で、古きよき日本の日常風景をとらえ、暴力シーンのない穏やかな雰囲気をもつ山田作品はまれな存在であり、それが広い層に彼の作品が愛され続ける理由だといえる。2002年には、山田監督同様に、一貫して市井の人々を描いた藤沢周平の小説を原作に「たそがれ清兵衛」で初の本格的な時代劇に挑戦。武士を主人公にしながら、物語のメーンを、決闘シーンではなく家族との日常生活に置き、リアリズムを追求した。藤沢の小説の映画化は「隠し剣 鬼の爪」(2004)、現在公開中の「武士の一分」(2006)と続いており、これらは時代劇3部作と呼ばれている。75歳を迎えながらも、いまだ製作に意欲的な山田監督の次回作は、戦時中の東京を舞台に、治安維持法違反で検挙された父親の帰りを待つ母子の姿を描く「母べえ」。山田作品に久々の出演となる吉永小百合が主演を務める。