「色即ぜねれいしょん」主演・渡辺大知(黒猫チェルシー)インタビュー「ウソのない映画です!」

'03年に公開された映画「アイデン&ティティ」と同じく、みうらじゅん原作、田口トモロヲ監督のコンビによる映画「色即ぜねれいしょん」が公開中。この作品で映画初出演ながら主演を務めた渡辺大知(黒猫チェルシー)が、撮影中の秘話を明かしてくれた。
本作は、みうらの自伝的同名小説を原作とした作品。'70年代の京都と隠岐島を舞台に、セックスへのあこがれとロックに情熱を燃やす主人公・純(渡辺)の姿を描いた青春物語。2000人を超えるオーディションを勝ち抜き主役の座を射止めた渡辺のほか、「アイデン―」で主演を務めた銀杏BOYZの峯田和伸も出演。また、くるりの岸田繁も本作で映画初出演を果たしており、渡辺を加えた3人でエンディングテーマ「どうしようかな」を歌うなど、アーティストの豪華共演も見どころの1つとなっている。
――初出演&初主演映画ということで田口監督からは演技指導などはありましたか?
とにかく初めてだったので分からないことばかりでした。田口監督がわざわざ僕の地元の神戸まで来てくださって、リハーサルというか練習をしたんです。監督は「作らなくていいからそのままで」って言ってくれたけど不安はありましたね。自分なりにベストを尽くすだけ! っていう気持ちでやっていたことを覚えています。監督は、1つ1つのせりふに対して「こう言え!」というのではなく、「純はこのせりふをどういう気持ちで言っていると思う?」っていう形で、僕に考えさせながらやらせてくれました。映画を見てくれた友達が、「お前のまんまやん!」って言ってました(笑)。家族とのシーンは特に素に見えたみたいです。母親役の堀ちえみさん、父親役のリリー・フランキーさんとは、楽屋にいる間も日曜日の家族みたいにゴロゴロしていましたね。僕自身は兄弟がいるんですけども、撮影をしていた去年の夏は、“あれ、俺って一人っ子やったっけ?”って錯覚してしまうぐらい純に成り切っていた気がします。いまだに堀さんもリリーさんも、僕のことを“純”って呼びますし(笑)。
――演じた純とご自身との間にある相違点を教えてください。
そっくりではないけど、共感する部分も多いですね。「ワーッ!」とはじけて何かしたいんですけど、なかなかそれができずに家で曲を作っている感じとかは似ていると思います。純を見ていると“もっと積極的にこうしたらいいのに…”と思うところはあったけど、実際に僕があの状況だったらできるのか分からないですね。僕自身、恋愛に関しては彼よりも積極的だけど、報われない感じです(笑)。純の学園祭でのライブは格好良かったと思いますね。僕が普段、音楽をしている時は、普通の歌い方をしてもしょうがないんじゃないかって思っています。黒猫チェルシー以外のバンドを組んでいた時もそう思っていたんですけど、自分の内側から出てくるものを隠さずにやりたいという気持ちが強い。僕が好きなミュージシャンの中には、アクティブなライブをする方も多いですし。そういうパフォーマンスを見ているとじっとしてられなくなっちゃうんです。だから、映画の中で不良バンドの演奏を見て触発された純の気持ちはすごくよく分かるんです。あのライブシーンは“格好いいところを見せたい!”という強い思いを持って臨みました。1人でステージに立っていたけど、バックには黒猫チェルシーのメンバーがいるつもりでやりました。もちろん、みんなお芝居として盛り上がってくれるんですよ。「ここで手拍子して」というような指導を受けていましたから(笑)。でも、すごく気持ち良かったですね。
――ミュージシャンの先輩である峯田さん、岸田さんとの共演はいかがでしたか?
岸田さんとご一緒したシーンは、ほとんど僕と岸田さんの2人だけの撮影だったんです。音楽の話ができる人だったので安心できたし、ずっとしゃべっていたかったですね。ロック喫茶に行くシーンは、京都に昔からある“拾得(じっとく)”というライブハウスで撮影したんですけど、2人ですごく興奮して「ライブがしたくなるな~!」って話したのを覚えています。峯田さんは、撮影中に僕の誕生日があって、その夜、ホテルの部屋まで来てくれていろいろ話したのが印象に残っています。すごく自分を持っている方で、いろいろ考えているのが伝わってきました。本当に峯田さんはヒゲゴジラみたいな人だったんですよ(笑)。僕を子ども扱いせず、対等な立場に居ながらいろいろ教えてくれる感じでした。
――そんなお2人と一緒にエンディングテーマを歌われていますが。
残念ながらレコーディングは一緒じゃなかったんです。しかも、一番キャリアのない僕が最初に録らなきゃいけなかったんですよ。お2人がどんなふうに歌うのか分からなかったので、ちょっと緊張しましたね。全員、何回か録った中から1テイク目が採用されたということです。完成したものを聴いてみると、お2人とも自由に遊びながら歌っている印象を受けます。
――最後に作品の見どころを教えてください。
原作のみうらさんがまだ高校生で、実際に隠岐島へ行った時の写真を見せてもらったんです。本当にヒゲゴジラがいたり、オリーブがいたりするんですよ。当時のリアルな風景を見せていただいて、'70年代の空気が少し分かったし、イメージがグンとわきました。この映画は本当にウソのない作品だと思います。だから、どの世代の方でも共感できる要素があるんじゃないでしょうか。('70年代を知っている人には)昔を思い出して、もう一度何かにチャレンジしたいという気持ちになってもらえればうれしいですね。それから、過去に何かをやり残したり、後悔していることがある人、コンプレックスがある人には、“あれでよかったんじゃないか?”とホッとしてもらえる作品になっていると思います。
映画「色即ぜねれいしょん」
全国公開中









