『ロンドンハーツ』(テレビ朝日系)の企画「芸人“恋愛”小説大賞」で大反響を呼んだ「花のことば」に、書き下ろし新作長編「交換日記」を加えた感動の小説作品集
最新刊「交換日記」立ち読み企画も今回で最終回! 第4弾を更新しました! 二人はどうなってしまうのか!?
一筋の冷たい風が、無言のまま俯(うつむ)く僕たちの隙間を、通り抜けていく。数分間、続いた無言の時間と、次第に冷たさを増す風に我慢ができず、僕は彼女に強く、こう言ってしまった。
「ねぇ、黙っとったってわからんよ!」
「……ごめんなさい」
彼女は悲しそうに俯きながら、口を開いた。
「どうしたと?」
僕は彼女の顔を覗き込み、聞いた。
「寂しくなっちゃって……。ごめんなさい」
膝の上にちょこんと置いてあった彼女の手を、僕は両手で覆った。その手は冷え切っていた。
それから、久美子ちゃんは顔を下に向けたままで、しばらく黙っていた。
久美子ちゃんの顔を見つめていると、彼女は僕の手を取り、強く握りしめてきた。
彼女の思いを少しでも受け止めようと、僕はその手を強く握り返す。
久美子ちゃんの唇が、静かに動いた。
「茂先輩、明日から……東京に行くとでしょう。そうしたら当分、会えなくなるなって……。東京と長崎って、遠いなって……。もう、このまま会えなくなるとかなって……」
泣いていた。彼女が流す涙は、僕の手に零(こぼ)れ落ちる。
ポタ、ポタポタ、ポタポタポタ……。
雨音のように止めどなく、涙は彼女の頬を伝い、僕の両手に零れ落ちてくる。
「茂先輩、私、寂しいとき、どうしたらよかとかな?」
言葉が出ない。久美子ちゃんのそんな素直な言葉に対して、言葉を用意することなど、僕はできなかった。そのかわり、僕は彼女を抱きしめた。
彼女は嗚咽(おえつ)を止めることができず、やがて号泣する。
僕は彼女を、抱きしめる。しかし、抱きしめながらも、どうしようもない無力感にとらわれていた。僕は久美子ちゃんに、何をすることもできない。何の言葉もかけてあげることはできない。ただ、抱きしめることしかできない。そんな自分が、悔しかった。彼女の号泣は、再び嗚咽となり、啜(すす)り泣きとなり、そして、涙がはらはらと流れるくらいまでに落ち着いた。
その間、僕はずっと、彼女を抱きしめていた。
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11/7発売の週刊ザテレビジョン46号に、ロンドンブーツ1号2号のお二人との対談が掲載されています! トークでは、ロンブー・淳が小説を執筆中(!?)など、新展開の予感も!
しょうじ・ともはる●'76年1月1日、東京都生まれ。東京実業高等学校在学中は野球部で活躍。高校卒業後、サラリーマンを経て、'95年に吉本総合芸能学院東京校(東京NSC)に第1期生として入学。同期の品川祐とお笑いコンビ・品川庄司を結成、ツッコミを担当。現在「笑っていいとも!」(金曜日)、「今田ハウジング」ほかにレギュラー出演中。初監督・初主演を務めた映画『I LOVE MARILYN』が、現在公開中