最後に咲くか? ハマの真冬の花

 真冬の駅伝大会で忘れられない場面があります。赤レンガの倉庫を背にスタートした高校2年生の女の子が、大柄な外国選手たちと競り合って、バンビのような細い足を伸ばしての快走。びゅんびゅんすぎていく中継カメラの港の風景の、真ん中にある自信たっぷりの表情に、スゴイ選手がでてきたな…と圧倒されたものです。

 

 2006年横浜国際女子駅伝。各国強力な選手をそろえてきた1区で、ロシア、エチオピア、ケニアの選手と接戦を繰り広げ4人そろって区間新記録を達成した日本選手が、小林祐梨子でした。その後、彼女は1500mの日本記録を達成。5000mで、北京五輪にも出場し、日本のトップ選手となったのは周知のとおりです。

 

 赤レンガ倉庫から、八景島シーパラダイスまで。冬の港を背景に走る横浜国際女子駅伝は、そのきれいな風景とともに、次代を担う選手を見つけるのも楽しみな大会です。 これまでに出場した選手は、95年の高橋尚子千葉真子、00年の野口みずき、01年の渋井陽子…とそうそうたるメンバー。まだ無名な彼女たちが、海外のトップ選手たち(ヌデレバシモンモタも出ていた!)にもまれ、その実力の一端を開花させてきました。

 

 東京国際女子マラソンをリニューアルした〝横浜国際女子マラソン〟のスタートに伴い、この駅伝は今回で最後になります。ラストの日本ナショナルチームのメンバーは、小林、渋井に、加納由理までいる豪華メンバー。立命館大学の小島一恵ら、世界ブレイクが楽しみな選手もちゃんといます。

 

 黙々と、自分との戦いをするマラソンに対して、チームで喜んだり悲しんだりする姿があるのが駅伝観戦の醍醐味。最後に、日本チームの大喜びの花火を、見てみたいものです。(K)

 

横浜国際女子駅伝FINAL

22日 昼0.00-2.40 日本テレビ系

Qちゃんが演出する〝名古屋の奇跡〟

 Qちゃんこと高橋尚子は、なにかとドラマチックな選手です。 2000年のシドニー五輪金メダル、2001年のベルリンマラソンでの世界新記録(当時)で頂点へ。しかしその後調子をおとすと、日本の厚い選手層にも阻まれ、2003年にはアテネ五輪代表から落選。

 

 失意の抜けきれぬ中、2005年に、恩師の小出義雄監督のもとから〝独立〟します。その数ヶ月後、東京国際女子マラソンに挑むことになりますが、調子はあがらず、しかも大会直前に足の故障を自ら公表。

 

 この「故障を公表」っていうのが、衝撃的でした。普通、スポーツ選手は試合前に自分の弱点を明かすようなことはしません。「惨敗したときの布石なのではないか」など、さまざまな憶測が飛び交いました。

 

 ところが当日、走り出してみると惨敗どころか圧巻のスパートで快勝! 以前競り負けているエチオピアのエルフィネッシュ・アレムも突き放し、「オセロの黒がぜんぶ白になりました!」と無邪気な笑顔。こちらはド肝を抜かれたのを覚えています。

 

 その後、2006年の東京国際では、土佐礼子に敗退。五輪へのチャレンジは、どのようにするのか注目を集めていましたが、ラストチャンスになる名古屋国際に照準をあわせてきました。

 

  35歳という年齢に、坂本直子原裕美子ら強力なライバル。1年半走ってないことによる不安の声…。〝残り1枠〟となった北京五輪出場権へは、壁は高い状態です。でも、こういう時こそ、こっちを驚かせてくれるのが高橋尚子。

  

 五輪代表への基準は、現在野口みずき、土佐礼子につづいての候補になっている森本友の記録・2時間25分34秒を上回っての優勝。Qちゃんが、またドラマを演出してくれることはあるのでしょうか。(K)

 

 2008名古屋国際女子マラソン

 

3/9日 昼0.00-2.55 フジ系

選手じゃない参加者がマラソンで見る風景

 '07年からスタートした「東京マラソン」は、競技レースの「東京国際マラソン」と、市民参加型の「東京シティロードレース」をまとめた国内最大規模のマラソン大会です。

 

  8月に行われる北京五輪の選考レースにもなっている大会で、ことしもアテネ五輪で6位に入賞した諏訪利成選手をはじめとする日本の有力選手や、昨年の優勝ランナーであるダニエル・ジェンガ選手ら、2時間7分台で走るトップクラスのランナーも参加します。

 

 その一方で、「東京マラソン」には参加者3万人という市民レースの顔も。第一回大会となった昨年は、有森裕子選手の引退レースということもあり、競技レースとしてよりもむしろ、市民マラソンの方が大きな注目を集めました。

 

  そんな中、ことしは勝俣州和さん、にしおかすみこさん、カンニング竹山さんなどの多数の芸能人に加えて、中継をする日本テレビの羽鳥慎一アナ、宮﨑宣子アナらの参加が決定。さらに、東国原英夫宮崎県知事も参加するとあって、昨年以上に盛り上がることが期待されています。

 

 この大会に参加するにあたって、練習に励んでいる皆さんですが、フルマラソンへの意気込みを聞いてみると、「24時間テレビで欽ちゃんが走ったときに見た風景を僕も見たいと思って」と、勝俣さんが意外な参加理由を明かしてくれました。

 

 確かに自分も、終電に乗るために駅まで走ることはあっても、全力で走れるのはせいぜい5分くらい。何十キロ、何時間も走ったあとの風景はまったく想像できない世界です。「目指すは完走なんで、温かい声援をお願いします」。是非、完走して新しい世界を見つけて欲しいですね。

 

 また、にしおかすみこさんは「みんなびっくりすると思うけど、本気で優勝狙ってますから」とやる気がみなぎっています。競技ランナーたちと優勝を争う姿が見られる?かもしれないので、中継にも注目したいところです。(O)

 

東京マラソン2008

 2/17日 朝9.00-11.40 日本テレビ系

東京マラソン 市民ランナーも有名人もアナウンサーもまだまだ激走中!!生放送SP

2/17日 朝11.55-昼4.25 日本テレビ

東京国際で激突する野口&渋井の魅力は個性にあり

 マラソンの面白さは、「人間」としての選手が、深く見られるところにあると思います。一人の選手が、戦略を立てて走り、予定外のことに苦しみ、ここぞというところで力をふりしぼり…、そんな姿を2時間以上もじっくりと見続ける競技って、ほかに思い浮かばないですよね。

 

  以前も1回とりあげましたが、日本の、とりわけ女子のマラソンは、世界でもトップレベルにあり、「3人」の枠を争う来年の北京五輪の出場権争いは熾烈を極めています。

 

  すでに夏の世界陸上で土佐礼子が内定し、この秋から冬の何回かの選考レースでのこりの2枠が決まるのですが、最も注目を集めているのは今週末行われる東京国際女子マラソン。アテネ五輪の金メダリスト・野口みずき、五輪翌年のベルリンマラソンで日本新記録(当時)を出した渋井陽子。誰もが知っているビッグネームふたりが、なんとそろって出場するのです。

 

  ケガもあり、2年ぶりのマラソンとなる野口は、過去5回のマラソンで、五輪金メダルの2時間26分20秒ですら自己最低記録であるくらい、安定した成績を残す選手です。メンタルも強く、「本番で勝てる選手」を重視する選考基準からすれば、一番の本命といえます。

 

  片や渋井は、2時間25分を切ったのも2時間20分を切ったのも、同年代の野口よりも1年前で、速さでは圧倒的。で、ありながら成績にムラもあり、アテネ五輪の選考レースだった'01年の大阪国際や、ことしの世界陸上の選考レースだった1月の大阪国際では大失敗し、大舞台への出場を逃しています。

 

 渋井はことし、その大阪の前にインタビューをしたとき、「戦略で走るなんて、私はできないんで。スタートのときの表情がよかったら速い、悪かったら今回は遅いと思ってもらって間違いないです(笑)」とケロっと言っていたのが印象的でした。野口も同様に、駆け引き重視ではなく、そのときの感性で走るタイプ。

 

 東京国際は、そんないずれ劣らぬ天才2人が、駆け引きなしの競い合いをしている「表情」を見ていると面白いかもしれません。記者は取材をしたよしみで渋井びいきですが、あなたは〝どっち派〟ですか?(K)

 

2007東京国際女子マラソン大会

11/18日昼0.00-2.55 テレビ朝日系、UMK

 

したたかに強い女性が世陸日本を救う

 今週末、クライマックスを迎える世界陸上。日本勢は苦戦しています。


 記者も為末大池田久美醍醐直幸澤野大地らが立て続けにメダル獲得!とはさすがに思っていませんでしたが、よもやそろって一次予選落ちとは…。メダル争いすら見られない、というのは想定外でした。ホームであることが逆にプレッシャーになってしまったんでしょうか…。


 9/2日には女子マラソンがあります。もうこうなったら、ここに期待するしかない! と日本中の人が思っていることでしょう。そしてまたプレッシャーに…。なんて悲観的すぎますね、すいません。


 代表選手は土佐礼子原裕美子小崎まり嶋原清子橋本康子。飛び抜けたタイムを持っている選手はいませんが、プレッシャーにはかなり強そうな顔ぶれがそろいました。


 東京国際高橋尚子を抜き去った土佐に注目が集まっていますが、記者のイチオシは原。今回と同じ大阪のコースで行われた1月の大阪国際で、渋井陽子らと競い優勝した選手です。


 印象的だったのは大阪国際直前の記者会見。持ち前の明るさで強気な発言を連発する渋井、落ち着いた雰囲気の小崎(も出てたんです)と並んで、原が出てきました。その雰囲気が面白かった! 「どうしてこの大会に出るんですか?」との問いに「お、同じ所属チームから何人も出ないように割り振られて…」。「このコースをどう思いますか?」には「ま、町中は走りにくいです…」。にこりともせず、要するに〝天然キャラ〟なんです。


 こういう人が、トップ選手なのか~。とちょっと意外に思っていたら、本番では本命渋井の背中にぴったりくっついて、後半に抜き去り優勝。しかも「くっつくのは作戦通りでした…」と、変わらぬ表情でコメント。とぼけてるようでしたたかな戦略家だったことに、びっくりしました。


 世界陸上のマラソンで、日本選手の中でトップに入り、かつメダルを獲得すると、北京五輪の代表に内定します。原がしたたかさを見せるか、粘りの土佐か、それとも…。面白い女性の戦いになりそうです。


世界陸上2007大阪大会


女子マラソン
9/2日朝6.55-9.30 TBS系 


理論派・為末の連続メダルへの奇策

 暑いな~。去年の夏はサッカーワールドカップで盛り上がったな~。来年はオリンピックだな~。となると、ことしはスポーツのビッグイベントはない、谷間の年なんだな~、っていうそこのあなた! 8/25土開幕の世界陸上があるじゃないですか。しかもことしは16年ぶりの日本開催。大阪で行われるんですよッ。

  

 世界陸上は212の国と地域が参加する、サッカーW杯、五輪に匹敵する巨大な世界大会。マラソン、100m走など男女計47種目の競技が、9日間にわたり行われます。2年前のフィンランド・ヘルシンキ大会は深夜の放送でしたが、今回は日本開催。TBS系やBS-iで、見やすい時間にばっちり生中継されます。  

 

 陸上の魅力は個人個人の力を、球技などのようにゲームの中で発揮するのではなく、運動能力をまさにそのまま競うその純粋さにあります。スピードとパワーの純粋なぶつかりあい。でも、純粋なスピード・パワーとなると、いろんなスポーツで〝体格に劣る…〟という修飾語がついてしまう日本選手、モロに不利なんじゃないか…。というようなイメージも抱いてしまいます。

 

 前回大会の男子400mハードルで銅メダルを獲得した為末大は言います。「速く走れない民族に生まれたってことはしょうがない。そこから勝つための計算をするのです。ルールの中でできることは、なんでも試します」。為末は昨年1年間、ハードルを跳ばず、走力アップのトレーニングに専念しました。そしてことしに入ってからは、ハードル間の歩数を全体で2歩減らす、という、独自の作戦に取り組んでいます。

 

  …っていっても、ピンときませんが、陸上関係者にきくとそれはトンでもない作戦なんだそうです。理論を練って、それを実現するためのテクニックを磨く。それが日本選手が世界のスピードとパワーに対抗するための手段になるのです。この作戦がうまくいけば、為末はまた、メダル争いで盛り上げてくれるでしょう。

 

  日本がもともと得意とするマラソンに加え、女子走り幅跳び池田久美子男子走り高跳び醍醐直幸男子ハンマー投げ室伏広治男子棒高跳び澤野大地、そして為末…。過去にはなかったほどの多様な競技でのメダル候補は、日本選手の近年のこうした努力のたまものといえます。

 

  「スピードとパワー」の陸上。今回は、それに加えて日本選手の「理論とテクニック」にもぜひ注目してみてください。

世界陸上2007大阪大会

8/25土~9/2日 ほぼ全日にわたりTBS系、BS-iで放送。

詳しくは番組表を参照してください。

「男子400mハードル」は

25土夜8.45(一次予選)、26日夜8.45(準決勝)、28火夜10.20(決勝)

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